広大な自然と豊かな文化が息づく岩手県。そんな魅力あふれる岩手を、もっと自由に、もっと気ままに旅してみたいと思ったことはありませんか?そこでおすすめなのが「岩手車中泊」の旅です。宿の予約に縛られず、気の向くままに絶景スポットや温泉を巡ることができる車中泊は、まさに自由な旅のスタイル。
この記事では、これから岩手で車中泊を始めたいと考えている初心者の方に向けて、安心して楽しめるおすすめのスポット、快適に過ごすためのコツ、そして最も大切なルールやマナーについて、わかりやすく徹底解説していきます。あなただけの特別な岩手の旅へ、さあ出発しましょう!
岩手車中泊におすすめのスポット【目的別】

岩手県で車中泊の旅を満喫するためには、まずどこに泊まるかが重要になります。安全で快適に過ごせる場所を選ぶことが、楽しい旅の第一歩です。ここでは、目的やスタイルに合わせて選べる岩手県内のおすすめ車中泊スポットを、それぞれの特徴とともにご紹介します。
設備充実で安心!「RVパーク」
RVパークは、日本RV協会が認定する車中泊専用の有料スペースです。 最大の魅力は、なんといってもその設備の充実度。100V電源が使える場所が多く、夏場の扇風機や冬場の電気毛布、パソコンやスマートフォンの充電にも困りません。また、24時間利用可能なトイレが清潔に管理されているのも嬉しいポイントです。
岩手県内には、温泉施設が併設されたRVパークもあります。例えば「RVパーク 秘湯夏油温泉」は、その名の通り秘湯ムードあふれる温泉を楽しめるスポットとして人気です。 また、「RVパーク岩手山」は、小岩井農場や網張温泉スキー場へのアクセスが良く、観光の拠点として非常に便利です。 ゴミ処理に対応してくれる施設もあるため、旅の途中で出るゴミの心配を減らせるのも大きなメリットと言えるでしょう。 予約が必要な場合がほとんどですが、計画的に旅をする方にとっては、確実に安心して泊まれる場所を確保できる心強い存在です。
買い物も休憩も便利!「道の駅」
「道の駅」は、多くの車中泊旅行者に愛される人気のスポットです。その最大の理由は、24時間利用可能な駐車場とトイレが完備されている点にあります。 岩手県内にも数多くの道の駅が点在しており、ドライブの休憩はもちろん、仮眠を取る場所としても広く利用されています。
例えば、「道の駅 雫石あねっこ」は温泉施設やキャンプ場が併設されており、車中泊をしながらリフレッシュするのに最適です。 また、「道の駅 たのはた 思惟の風」のようにキャンピングカー専用の有料スペースを設けている場所もあり、より快適に過ごせるよう配慮されています。
ただし、全ての道の駅で車中泊が公認されているわけではないことを覚えておく必要があります。 道の駅はあくまで休憩施設であり、宿泊施設ではありません。 そのため、長期間の滞在や、車外にテーブルや椅子を広げる「キャンプ行為」はマナー違反となります。 近年は一部の利用者のマナー問題から、車中泊を禁止する道の駅も増えています。 利用する際は、現地のルールを必ず確認し、他の利用者の迷惑にならないよう心がけましょう。
自然を満喫!「オートキャンプ場」
豊かな自然の中で思いっきりアウトドアを楽しみたいなら、オートキャンプ場が最適です。 区画内に車を乗り入れて、隣にテントやタープを張ることができるため、車中泊とキャンプの「いいとこ取り」が可能です。焚き火やバーベキューを楽しめるのも、キャンプ場ならではの魅力でしょう。
岩手県には、初心者からベテランまで楽しめるオートキャンプ場が豊富にあります。「岩手山焼走り国際交流村」は、温泉やキャビンも併設された高規格なキャンプ場として知られています。 また、「いちのせき厳美オートキャンプ場」のように、ペット同伴が可能な施設もあり、愛犬と一緒に旅をしたい方には嬉しい選択肢です。
オートキャンプ場は有料で、予約が必要な場合がほとんどです。しかし、その分、炊事場やシャワー、ゴミ捨て場といった設備が整っており、安心して快適に過ごすことができます。場所によっては電源付きのサイトもあり、家電製品を使いたい方にも便利です。自然に囲まれて、ゆったりとした時間を過ごしたい方には、オートキャンプ場での車中泊がおすすめです。
初心者でも安心!岩手車中泊の基本ルールとマナー

車中泊は手軽で自由な旅のスタイルですが、どこでも自由に泊まって良いわけではありません。すべての人が気持ちよく施設を利用し、車中泊という文化を未来に残していくためにも、守るべき基本的なルールとマナーが存在します。ここでは、特に初心者が気をつけたいポイントを解説します。
許可された場所か必ず確認
車中泊を行う上で最も重要なのは、「車中泊が許可されている場所で行う」ということです。道の駅やサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)は、あくまで運転者の休憩や仮眠を目的とした施設であり、宿泊を公式に許可しているわけではありません。 中には「車中泊禁止」の看板を掲げている場所もありますので、必ず現地の表示を確認しましょう。
安心して車中泊をしたい場合は、前述した「RVパーク」や「オートキャンプ場」といった、車中泊を公認している有料施設を利用するのが最も確実です。これらの施設では、ルールを守ることで堂々と滞在することができます。無料の駐車場などを利用する場合は、トラブルを避けるためにも、その場所が車中泊に適しているか、事前にインターネットの口コミなどで情報収集をすることが大切です。
長期滞在やキャンプ行為はNG
道の駅やSA・PAなどの公共の駐車場は、多くの人が利用する共有スペースです。 そのため、同じ場所に何日も滞在する「長期滞在(連泊)」はマナー違反とされています。 これらの施設は宿泊施設ではないため、あくまで「仮眠」の範囲にとどめ、長時間の滞在は避けましょう。
また、駐車スペースで車外にテーブルや椅子、タープなどを広げて食事をしたり、調理をしたりする「キャンプ行為」は絶対にやめましょう。 これは他の利用者の駐車スペースを奪うだけでなく、騒音や匂いの原因となり、大きなトラブルに発展する可能性があります。車内で静かに過ごすことを基本とし、調理なども車内で行うか、火気使用が許可されている場所へ移動してから行いましょう。
ゴミの処理とアイドリングストップ
旅の途中で出たゴミは、必ず自分で持ち帰るのが鉄則です。道の駅などのゴミ箱は、施設内で購入した商品のゴミを捨てるためのものであり、車中泊で出た生活ゴミを捨てる場所ではありません。ゴミの不法投棄は、車中泊が禁止される大きな原因の一つです。 ゴミは分別して袋にまとめ、自宅に持ち帰るか、RVパークやキャンプ場など、有料でゴミ処理を引き受けてくれる施設で処分しましょう。
さらに、就寝時や長時間の停車中は、エンジンを停止する「アイドリングストップ」を心がけましょう。 エンジン音は、深夜の静かな環境では想像以上に大きく響き、周辺で休んでいる他のドライバーや近隣住民の迷惑になります。 また、排気ガスによる環境への影響も無視できません。夏の暑さや冬の寒さ対策は、エンジンに頼るのではなく、ポータブル電源と扇風機や電気毛布、断熱シェード、寝袋(シュラフ)などを活用して行うのが賢明です。
プライバシーと防犯対策
安心して車中泊をするためには、プライバシーの確保と防犯対策が欠かせません。外からの視線を遮るために、すべての窓にカーテンやサンシェードを取り付けましょう。 これにより、車内が覗かれるのを防ぎ、着替えなども安心して行えます。また、光を遮断することで、駐車場の照明が気にならず、朝までぐっすり眠ることができます。
防犯面では、就寝前には必ずすべてのドアをロックすることを徹底してください。貴重品は外から見えない場所に保管し、必要であれば防犯アラームなどのグッズを活用するのも一つの手です。特に女性の一人旅の場合は、できるだけ照明が明るく、人の出入りが多い場所を選ぶと安心感が増します。危険を感じたら、すぐにその場を離れて安全な場所に移動する勇気も大切です。
岩手車中泊の旅を快適にする温泉&入浴施設

車中泊の旅で汗を流し、一日の疲れを癒してくれるのが温泉や入浴施設の存在です。岩手県は温泉資源にも恵まれており、各地に魅力的な立ち寄り湯が点在しています。ここでは、車中泊スポットと合わせて利用しやすいエリア別のおすすめ温泉施設をご紹介します。
【県北エリア】絶景と楽しむ立ち寄り湯
岩手県の北部、八幡平エリアや久慈周辺は、豊かな自然に囲まれた温泉地が魅力です。ドライブで疲れた体を癒すのに最適なスポットがたくさんあります。
藤七温泉 彩雲荘は、標高1,400mに位置し、まるで天空にいるかのような絶景の露天風呂が自慢です。 広大な景色を眺めながら浸かる温泉は格別で、旅の忘れられない思い出になるでしょう。
また、休暇村 岩手網張温泉は、乳白色の硫黄泉が特徴で、日帰り入浴も可能です。 周辺にはキャンプ場もあり、アウトドアと温泉をセットで楽しみたい方におすすめです。久慈市周辺で車中泊をするなら、「道の駅くじ」の近くにある入浴施設を探すのも良いでしょう。
【県央エリア】盛岡・雫石周辺の入浴施設
県庁所在地である盛岡市や、小岩井農場で知られる雫石町周辺にも、気軽に立ち寄れる入浴施設が充実しています。
湯守 ホテル大観は、盛岡の奥座敷・つなぎ温泉にあり、広々とした大浴場や露天風呂でリラックスできます。 日帰りプランも用意されており、少し贅沢な気分を味わいたい時にぴったりです。
雫石エリアでは、「道の駅 雫石あねっこ」に併設された「橋場温泉 新はしばの湯」が非常に便利です。 道の駅で車中泊をする前後に、そのまま温泉に入れる手軽さが魅力です。泉質も良く、地元の人々にも愛されています。盛岡市内で手軽に汗を流したい場合は、「喜盛の湯」のようなスーパー銭湯も選択肢の一つです。
【県南・沿岸エリア】世界遺産や三陸観光の拠点に
世界遺産・平泉や、美しいリアス海岸が続く三陸エリアを旅する際にも、立ち寄り湯は欠かせません。観光と合わせて、心身ともにリフレッシュしましょう。
平泉周辺では、「悠久の湯 平泉温泉」が人気です。 中尊寺や毛越寺といった観光スポットからのアクセスも良く、歴史散策の後に汗を流すのに最適です。
沿岸部、宮古市周辺では「休暇村 陸中宮古」で太平洋を望みながら入浴が楽しめます。 三陸の絶景を堪能した後に訪れたい温泉です。また、花巻市周辺まで足を延せば、宮沢賢治も愛した花巻温泉郷があり、「ホテル千秋閣」などで日帰り入浴が可能です。 さらに南下した一関市には「かんぽの宿 一関」もあり、旅の行程に合わせて選ぶことができます。
季節別!岩手車中泊の注意点と楽しみ方

広大な岩手県では、季節によって気候が大きく異なり、車中泊の楽しみ方や注意点も変わってきます。ここでは、春夏秋冬それぞれの季節に合わせた対策と、その時期ならではの岩手の魅力をご紹介します。快適で安全な車中泊の旅のために、ぜひ参考にしてください。
春・秋の過ごし方と服装のポイント
春と秋は、気候が穏やかで車中泊には最適なシーズンです。日中は過ごしやすいですが、岩手の山間部では朝晩の冷え込みが厳しいことがあります。日中との寒暖差に対応できるよう、フリースやライトダウンなど、重ね着しやすい服装を準備しておくと安心です。
春は、北上展勝地の桜並木や、小岩井農場の一本桜など、見事な桜の名所を巡るお花見ドライブがおすすめです。秋には、八幡平アスピーテラインや猊鼻渓の紅葉が素晴らしく、車窓からの景色も楽しめます。 この時期は、エンジンをかけずに窓を開けているだけでも気持ちの良い気候なので、ポータブルバッテリーで動く扇風機や、少し厚手の寝袋があると快適に眠れるでしょう。
夏の暑さ対策!必須アイテムと涼しいスポット
夏の車中泊で最も重要な課題は「暑さ対策」です。締め切った車内は熱がこもりやすく、熱中症のリスクが高まります。アイドリングストップがマナーのため、エンジンをかけてエアコンを使うことはできません。そこで活躍するのが、ポータブル電源とポータブルクーラー(冷風機)や扇風機です。これらを使えば、エンジンを止めたままでも涼しい風を送ることができます。
また、駐車する場所選びも重要です。日中は日陰になる場所を探し、サンシェードで直射日光を遮りましょう。ドアや窓を開ける際は、虫の侵入を防ぐために網戸(バグネット)が必須アイテムです。岩手の夏を楽しむなら、龍泉洞のような涼しい鍾乳洞を訪れたり、浄土ヶ浜で海水浴を楽しんだりするのがおすすめです。 標高の高い高原エリア、例えば八幡平周辺などは、平地よりも涼しく過ごしやすいため、車中泊場所として狙い目です。
冬の寒さ対策!雪道運転と装備の注意点
冬の岩手は、厳しい寒さと多くの雪に見舞われます。車中泊をするには万全の寒さ対策が不可欠です。断熱性の高いシェードで窓を覆い、車内の熱が逃げるのを防ぐことが基本中の基本です。寝具は、冬用の高性能な寝袋(シュラフ)を用意し、さらに電気毛布やFFヒーター(エンジンを停止した状態で車内を暖める専用ヒーター)があると非常に快適です。
車の装備も重要です。スタッドレスタイヤの装着は必須であり、できればタイヤチェーンも携行しましょう。雪道の運転は慎重に行い、天候が荒れる予報の際は無理な移動を避ける判断も大切です。冬の岩手では、網張温泉スキー場や雫石スキー場などでウィンタースポーツを楽しむことができます。 凍えるような寒さの中で楽しむスキーやスノーボードの後の、暖かい温泉と車内での一杯は、冬の車中泊ならではの最高の贅沢と言えるでしょう。
岩手車中泊で巡りたい!おすすめ観光&グルメスポット

車中泊の魅力は、なんといってもその自由度の高さ。岩手県の広大な大地に点在する観光名所や、地元ならではの絶品グルメを、時間に縛られずに心ゆくまで堪能できます。ここでは、車中泊の旅だからこそ楽しめる、おすすめの観光&グルメスポットをご紹介します。
絶景を巡る!三陸復興国立公園ドライブ
岩手県の沿岸部は、美しいリアス海岸の景観が続く三陸復興国立公園に指定されています。海岸線に沿って走る国道45号線は、絶景ポイントが連続する人気のドライブコースです。
「北山崎」は、高さ200mの断崖絶壁が約8kmにわたって連なる圧巻の景勝地。展望台からの眺めは、まるで絵画のような美しさです。 また、透明度の高いエメラルドグリーンの地底湖で知られる「龍泉洞」は、日本三大鍾乳洞の一つに数えられ、その神秘的な光景に心を奪われることでしょう。 そして、白い流紋岩の岩肌と青い海のコントラストが美しい「浄土ヶ浜」は、穏やかな波打ち際を散策するだけでも癒やされる、必訪のスポットです。 車中泊なら、朝焼けや夕暮れなど、時間帯によって表情を変える三陸の海をゆっくりと楽しむことができます。
歴史に触れる!平泉の世界遺産
岩手県南部にある平泉は、奥州藤原氏三代が築いた浄土思想に基づく独自の文化が花開いた地であり、その関連資産が世界文化遺産に登録されています。
きらびやかな金色堂で有名な「中尊寺」は、藤原氏の栄華を今に伝える必見の場所です。 杉木立の続く月見坂を歩けば、心が洗われるような静寂な時間を過ごせます。また、浄土庭園が美しい「毛越寺」や、奥州藤原氏の政庁跡とされる「柳之御所遺跡」など、歴史好きにはたまらない見どころが満載です。
一関市まで足を延せば、船頭が唄う「げいび追分」を聞きながら渓谷美を楽しむ舟下りができる「猊鼻渓」もあります。 歴史と自然の両方を満喫できる平泉周辺は、車中泊でじっくりと時間をかけて巡りたいエリアです。
盛岡三大麺を味わう!ご当地グルメ旅
旅の醍醐味の一つは、なんといってもその土地ならではのグルメです。岩手の県都・盛岡市は、「盛岡三大麺」と呼ばれる独自の麺文化が根付いています。
まずは、お椀に次々とそばが入れられるエンターテイメント性の高い「わんこそば」。 自分の限界に挑戦するのも一興です。次に、コシの強い独特の麺に、肉味噌やキュウリを絡めて食べる「盛岡じゃじゃ麺」。食べた後のお皿に卵と茹で汁を入れてもらう「ちいたんたん」までがセットの楽しみ方です。そして、つるりとした喉ごしの麺と、牛骨ベースのピリ辛スープが絶妙な「盛岡冷麺」。
これらの三大麺は、盛岡市内の至る所で味わうことができます。車中泊なら、夕食にじゃじゃ麺を楽しみ、翌日の昼に冷麺を、といったように、時間を気にせずグルメ巡りが可能です。道の駅などで地元の食材を調達し、車内で郷土料理に挑戦してみるのも楽しいでしょう。
まとめ:ルールを守って楽しい岩手車中泊の旅へ

岩手県での車中泊の旅は、壮大な自然、心癒される温泉、奥深い歴史文化、そして美味しいグルメといった、たくさんの魅力に出会える素晴らしい体験です。RVパークや道の駅、オートキャンプ場など、目的に合わせてスポットを選び、季節ごとの特徴を理解して準備をすれば、初心者の方でも安心して快適な旅を楽しむことができます。
最も大切なことは、長期滞在をしない、ゴミは持ち帰る、アイドリングストップを心がけるといった基本的なマナーを守ることです。 これらのルールは、すべての人が気持ちよく場所を共有し、これからも車中泊という自由な旅のスタイルを続けていくために不可欠です。
この記事でご紹介した情報を参考に、あなただけのオリジナルな「岩手車中泊」プランを立ててみてください。安全に、そしてマナーを守って、岩手県の広大な大地を舞台にした最高の思い出を作りましょう。



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