軽自動車での車中泊がブームになっています。コンパクトな車体でも、工夫次第で快適なベッドルームに早変わりするのは大きな魅力です。しかし、いざ寝てみると「シートの段差が痛くて眠れない」「底冷えして何度も目が覚めた」という経験をされる方も少なくありません。
そこで重要になるのが、車中泊マットの選び方です。限られたスペースの軽自動車だからこそ、サイズや厚み、収納性をしっかり吟味する必要があります。この記事では、軽自動車にぴったりな車中泊マットの選び方や、おすすめの種類をわかりやすく解説します。朝までぐっすり眠れる環境を整えて、楽しい旅に出かけましょう。
軽自動車で車中泊マットを選ぶ際に重要な3つのポイント

軽自動車は普通車やミニバンに比べて室内空間が限られています。そのため、なんとなく選んでしまうと「大きすぎて敷けない」あるいは「収納場所がなくて邪魔になる」といった失敗につながりかねません。まずは、軽自動車ならではの選び方の基準を押さえておきましょう。
車内のサイズとマットの寸法を正確に測る
最も基本的なことですが、自分の車の室内幅と長さを正確に把握することがスタートです。軽自動車の室内幅は、一般的に120cm前後であることが多いですが、ホイールハウス(タイヤの出っ張り)やドアのアームレスト部分で有効幅が狭くなることがあります。
大人2人で寝る場合は、幅60cm程度のシングルサイズを2枚並べるのが一般的です。1人で広々と使いたい場合は、幅100cm程度のセミダブルサイズが入るか確認しましょう。また、長さも重要です。助手席まで倒してフラットにするのか、後部座席と荷室だけで寝るのかによって必要な長さが変わります。カタログ数値だけでなく、実際にメジャーで「寝るスペース」を実測することをおすすめします。
シートの段差を解消できる厚みがあるか
軽自動車のシートアレンジは進化していますが、完全に平らになる車種ばかりではありません。多くの場合は、背もたれと座面の間に段差や傾斜が生まれます。この凹凸を背中に感じたままだと、翌朝のひどい腰痛につながります。
快適に眠るための目安として、マットの厚さは「8cm以上」あると安心です。10cmあれば、まるで自宅のベッドのような寝心地に近づきます。逆に5cm以下の薄いマットを選ぶ場合は、マットの下にタオルやクッションを詰めて段差を埋める工夫が必要になることを覚えておきましょう。
収納時のコンパクトさと準備の手軽さ
軽自動車の最大のネックは、荷物を積むスペースが少ないことです。寝ている間は良くても、移動中にマットが場所を取りすぎては、他の荷物が積めなくなってしまいます。
使用していない時にどれだけ小さく丸められるか、収納サイズを必ずチェックしてください。また、狭い車内でマットを広げたり畳んだりするのは意外と重労働です。バルブを開くだけで勝手に空気が入るタイプなど、設営と撤収がスムーズに行えるかどうかも、旅の疲れを溜めないための重要なポイントです。
車中泊用マットの主な種類と軽自動車との相性

一口に車中泊マットと言っても、素材や構造によっていくつかの種類に分かれます。それぞれの特徴を理解して、自分の旅のスタイルや車種に合ったものを見つけましょう。ここでは代表的な4つのタイプをご紹介します。
自動で膨らむインフレーターマットの特徴
現在、車中泊ユーザーの間で最も人気があるのが「インフレーターマット」です。これは内部にウレタンフォームが入っており、バルブを開くと空気を吸い込んで自動的に膨らむ仕組みになっています。
最大のメリットは、クッション性と断熱性のバランスが良いことです。中のウレタンが体を支えてくれるため寝心地が良く、空気だけのマットに比べて底冷えもしにくいのが特徴です。厚さ8cm以上のモデルを選べば、軽自動車特有のシートの凸凹もかなり軽減してくれます。準備も簡単なので、初心者の方に一番のおすすめです。
コンパクトに収納できるエアーマットのメリット
「エアーマット」は、浮き輪のように空気だけで膨らませるタイプです。中身が空気だけなので、空気を抜くとペラペラになり、非常にコンパクトに収納できます。荷物を極限まで減らしたい方には魅力的です。
ただし、空気の層だけなので体が沈み込みやすく、寝返りを打つと「ボヨンボヨン」と揺れる独特の寝心地になります。また、断熱材が入っていないため、冬場は中の空気が冷えて寒さを感じやすいというデメリットもあります。使用する際は、電動ポンプを用意しておくと設営が楽になります。
手軽で耐久性が高いウレタンマットの魅力
「ウレタンマット」や「折りたたみマット」は、空気を入れる必要がなく、パッと広げるだけですぐに使えるのが魅力です。パンクする心配がないため耐久性が高く、岩場などのキャンプサイトでも兼用したい方に適しています。
デメリットは収納サイズが大きいことです。空気を抜いて小さくすることができないため、折りたたんでもそれなりの体積になります。軽自動車の場合、天井付近に収納棚を作るなどの工夫がないと、移動中に邪魔になってしまうかもしれません。車内の広さに余裕があるバンタイプの車におすすめです。
キャンプ用銀マットは車中泊に使えるのか
ホームセンターなどで安価に手に入る、アルミ蒸着された「銀マット」。これをメインの寝具として使うのは、あまりおすすめできません。クッション性が低く、シートの硬さや段差がダイレクトに伝わってしまうからです。
しかし、補助アイテムとしては非常に優秀です。メインのマットの下に敷くことで断熱効果を高めたり、窓の形にカットして目隠し(シェード)として使ったりと、様々な用途で活躍します。メインのマットと組み合わせる「縁の下の力持ち」として活用するのが正解です。
軽自動車の車種別おすすめマットの選び方

軽自動車と一口に言っても、その形状やシートアレンジは様々です。車種のタイプによって最適なマットの選び方も変わってきます。ここでは代表的な3つのボディタイプ別に解説します。
N-BOXやタントなどのハイトワゴン系
N-BOX、タント、スペーシアなどのスーパーハイトワゴンは、天井が高く開放感があるのが特徴です。シートアレンジも多彩ですが、「フルフラット」と言っても背もたれの角度や座面の段差が残りやすい傾向があります。
このタイプには、厚みのある(8cm〜10cmクラス)インフレーターマットが必須です。また、助手席と後部座席をつなげて片側だけベッドにするスタイルが多いため、幅60cm前後のシングルサイズを人数分用意するのが使い勝手が良いでしょう。隙間を埋めるクッションも併用すると、より快適になります。
ジムニーやハスラーなどのSUV系
ジムニーやハスラーなどのSUVタイプは、アクティブな車中泊ユーザーに人気です。しかし、室内空間はハイトワゴンに比べるとややタイトで、特にタイヤハウス周りの形状が複雑な場合があります。
ジムニーなどは専用設計のマットも多く販売されているので、予算が許すならそれらを選ぶのが一番確実です。汎用品を選ぶ場合は、少し幅が狭めのマット(幅50cm〜55cm)を選ぶと、ドアや内装に干渉せずに敷くことができます。長さもハンドルに干渉しないよう注意して計測しましょう。
エブリイやアトレーなどのバン系
エブリイやアトレー、N-VANなどの商用バンベースの車は、後部座席を畳むと完全に平らな床(フロア)ができるのが最大の強みです。段差を気にする必要が少ないため、マット選びの自由度は非常に高いです。
ただし、商用車は床からの冷気や走行音が伝わりやすいという弱点もあります。そのため、寝心地だけでなく「断熱性」を重視したマット選びが重要です。厚手のマットに加え、銀マットやラグを下に敷くなど、底冷え対策をしっかり行うことで、真冬でも快適な車中泊が可能になります。
快適な睡眠環境を作るためのプラスアルファの工夫

良いマットを選ぶことは最も重要ですが、それだけで完璧な睡眠が得られるとは限りません。特に軽自動車では、ちょっとした工夫を加えることで快適度が劇的に向上します。ここではマット以外で意識したいポイントを紹介します。
マットの下に敷く段差解消グッズの活用
どれだけ厚手のマットを使っても、大きなシートの段差(特に背もたれと座面の境目)は吸収しきれないことがあります。腰の部分が沈み込むと、翌朝腰が痛くなる原因になります。
そこで活躍するのが「段差解消グッズ」です。市販の専用クッションもありますが、バスタオルや着替えを詰めた洗濯ネットでも代用可能です。マットを敷く前に、一度シートの上に寝転がってみて、凹んでいる部分に詰め物をして「土台」を平らにしてからマットを敷きましょう。このひと手間で寝心地が格段に変わります。
冬場の底冷えを防ぐ断熱対策の重要性
車は鉄の塊であり、外気の影響をダイレクトに受けます。特に冬場の車中泊では、マットを通して背中から熱が奪われる「底冷え」が天敵です。
マットの断熱性能を示す「R値」という指標がありますが、R値が高いマットを選ぶか、あるいはマットの下に銀マットや断熱シートを重ね敷きすることをおすすめします。また、窓ガラスからの冷気(コールドドラフト)も強烈なので、窓には必ずシェードやカーテンを取り付け、冷気を遮断してください。
寝袋や枕との組み合わせで快適度アップ
マットは「敷布団」の役割ですが、「掛け布団」にあたる寝袋(シュラフ)も重要です。軽自動車の中は意外と乾燥しやすく、また温度変化も激しいです。季節に合った温度帯の寝袋を選びましょう。
そして意外と忘れがちなのが「枕」です。自宅で使っている枕を持ち込むのが一番快適ですが、荷物になる場合は、衣類をタオルで巻いて枕代わりにするか、空気で膨らませるキャンプ用枕を用意しましょう。首元の高さが合うだけで、熟睡度が変わります。
購入前に確認しておきたい注意点とメンテナンス

最後に、マットを購入する前に確認すべき注意点と、長く使うためのメンテナンス方法についてお伝えします。せっかく買ったマットをすぐにダメにしてしまわないよう、正しい扱い方を知っておきましょう。
万が一のパンク修理と耐久性の確認
インフレーターマットやエアーマットの宿命とも言えるのが「パンク」です。鋭利な荷物や、車内の金属パーツに引っ掛けて穴が開いてしまうことがあります。
購入時には、万が一のための「リペアキット(補修パッチ)」が付属しているか確認しましょう。また、生地の強さ(デニール数などで表記)もチェックポイントです。車内で使う場合、滑り止め加工が裏面に施されていると、寝ている間にマットがズレるのを防いでくれます。
使用後の乾燥と正しい保管方法
人間は寝ている間にコップ一杯分の汗をかくと言われています。車中泊マットも、使用後は湿気を含んでいます。そのまま収納袋にしまい続けると、内部のウレタンにカビが生えたり、生地が加水分解してベタベタになったりする原因になります。
帰宅後は、直射日光の当たらない風通しの良い場所でバルブを開けたまま広げ、しっかりと湿気を抜いてから保管しましょう。保管スペースが許すなら、丸めずに伸ばした状態で保管するほうが、中のウレタンのヘタリを防ぐことができます。
車中泊禁止場所やマナーについての再確認
快適なグッズが揃っても、泊まる場所選びを間違えてはトラブルの元です。道の駅やサービスエリアは本来「休憩施設」であり、宿泊目的の利用が禁止されている場所も増えています。
「RVパーク」や「オートキャンプ場」など、正式に車中泊が許可されている施設を利用しましょう。エンジンをかけたままのアイドリングは騒音や環境問題になるだけでなく、一酸化炭素中毒の危険もあるため、必ずエンジンを切ってマットと寝袋で暖を取るようにしてください。
軽自動車に最適な車中泊マットで快適な旅を始めましょう
軽自動車での車中泊は、宿の予約に縛られず、思い立った時に好きな場所へ行ける素晴らしい旅のスタイルです。その自由な旅を心から楽しむためには、一日の疲れを癒やす「睡眠環境」が何よりも大切です。
今回は「サイズ」「厚み」「収納性」という選び方のポイントや、車種別の特徴をご紹介しました。安さだけで選ぶのではなく、自分の愛車のシート形状に合い、しっかりと体を支えてくれるマットを選ぶことが、長く車中泊を楽しむ秘訣です。ぜひ、あなたと愛車にぴったりの車中泊マットを見つけて、快適で思い出に残る旅に出かけてみてください。



