車中泊やキャンプの朝、静かな自然の中で豆を挽き、ハンドドリップで淹れるコーヒーは格別の味わいです。その至福の一杯を楽しむために欠かせない道具がコーヒーミルですが、皆さんは使い終わった後の「洗い方」や「お手入れ」をどのようにされていますか?実は、コーヒーミルの手入れをおろそかにすると、せっかくの良い豆も本来の風味を損なってしまうことがあります。特に水が自由に使えない車中泊の環境では、どのように清潔を保てばよいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
コーヒー豆には油分が含まれており、粉砕した後に残る微粉やオイルは時間が経つと酸化してしまいます。これが古い油のような不快な臭いや雑味の原因となり、次に淹れるコーヒーの味を濁らせてしまうのです。毎回分解して水洗いする必要はありませんが、正しい道具と手順を知っておくことで、いつでもクリアで美味しいコーヒーを楽しむことができます。この記事では、初心者の方にもわかりやすく、水を使わない方法を中心にコーヒーミルの正しい洗い方とメンテナンス術を解説します。
まずは確認!お持ちのコーヒーミルは水洗いできる?できない?

コーヒーミルの掃除を始める前に、最も重要な確認事項があります。それは、お使いのミルが「水洗いできるタイプ」か、それとも「水洗いができないタイプ」かということです。この判断を誤って水につけてしまうと、大切な道具を一発でダメにしてしまう可能性があります。特にアンティーク調のおしゃれなミルや、金属製の刃を使用しているものは注意が必要です。ここでは、素材や構造による見分け方と、なぜ水洗いが制限されるのかという理由について詳しく解説していきます。
水洗いが基本的にNGな理由とは?サビと故障のリスク
多くのコーヒーミル、特に本格的な手挽きミルや電動ミルの本体部分は、基本的に「水洗いNG」であると考えておいたほうが無難です。その最大の理由は「サビ」です。コーヒー豆を粉砕する刃(臼)の部分には、切れ味を鋭く保つために硬度の高い鋼鉄やステンレスなどの金属が使われています。ステンレスは錆びにくい素材ではありますが、全く錆びないわけではありません。特に内部に入り込んだ水分は完全に乾燥させることが難しく、わずかな湿気が残るだけで赤サビが発生し、切れ味が悪くなったり、回らなくなったりする原因になります。
また、木製のボディを持つミルの場合、水洗いをすると木が水分を吸って膨張し、変形やひび割れを起こすことがあります。一度変形してしまうと、パーツ同士の噛み合わせが悪くなり、スムーズに挽けなくなることもあります。電動ミルの場合はさらに深刻で、モーターや配線部分に水が入ればショートして故障するだけでなく、感電の危険性もあります。このように、安易な水洗いはミルの寿命を縮める大きな要因となるため、まずは「洗わない」ことを前提としたお手入れ方法を学ぶことが大切です。
金属刃とセラミック刃の違いで見分けるポイント
水洗いができるかどうかの大きな判断基準の一つに、「刃の素材」があります。一般的に、金属製の刃(ステンレスや鉄)を使用しているミルは水洗いを避けるべきですが、最近増えている「セラミック製」の刃を持つミルは、刃の部分だけを取り外して水洗いできるものが多くあります。セラミックは陶器の一種なので、金属のように錆びることがなく、水に濡れても品質が変化しません。アウトドア用のコンパクトなミルには、このセラミック刃が採用されていることがよくあります。
見分け方としては、刃の色や質感を確認してください。金属刃は銀色や黒色で金属特有の光沢がありますが、セラミック刃は白色やグレーで、陶器のようなマットな質感をしていることが多いです。ただし、刃がセラミックであっても、それを支える軸やバネ、ネジなどのパーツが鉄製である場合は、丸ごとの水洗いはできません。あくまで「セラミックの刃単体」のみが洗浄可能であるケースも多いため、どこまで分解して洗えるかをしっかり見極める必要があります。
木製や電動モーター付きの本体は絶対に濡らさない
先ほども少し触れましたが、本体の素材も水洗いの可否を決める重要な要素です。クラシックで温かみのあるデザインが人気の木製ミルは、インテリアとしても素敵ですが、水気は大敵です。木は水分を含むと膨張し、乾燥すると収縮します。この繰り返しによって、接着面が剥がれたり、木材そのものが割れてしまったりすることがあります。また、湿った状態が続くとカビが発生するリスクも高まります。木製ミルのお手入れは、基本的に乾いた布での拭き上げとブラシ掃除のみに留めましょう。
電動ミルの場合、モーターが内蔵されている本体部分は「電化製品」です。テレビやパソコンを水洗いしないのと同じように、電動ミルの本体も絶対に水に濡らしてはいけません。水洗いができる可能性があるのは、本体から取り外せる「ホッパー(豆を入れる部分)」や「粉受け(挽いた粉が溜まるケース)」、そして一部の機種で取り外し可能な「刃」のパーツのみです。これらも洗った後は完全に乾燥させてから取り付けないと、残った水分が本体内部に侵入し、故障の原因となるため細心の注意が必要です。
取扱説明書の「お手入れ」欄をチェックする癖をつけよう
ここまで素材別の一般的な傾向をお伝えしましたが、最終的に最も確実な判断方法は、製品に付属している「取扱説明書」を確認することです。メーカーやモデルによって構造は千差万別であり、同じような見た目のミルでも、水洗いに対する耐久性が異なる場合があります。説明書には必ず「お手入れ方法」や「洗浄についての注意」という項目があり、そこに「水洗い不可」「刃のみ水洗い可」「全分解して洗浄可能」といった明確な指示が記載されています。
もし説明書を紛失してしまった場合は、メーカーの公式サイトで製品情報を検索するか、型番で検索してオンラインの説明書(PDF)を探してみましょう。自己判断で洗ってしまい、後悔することのないように、まずは正しい情報を得ることが大切です。特に「丸洗いOK」と大きく謳っているアウトドア向けの商品以外は、基本的に「水は使わずブラシで掃除する」というスタンスで接するのが、コーヒーミルを長く愛用するための秘訣です。
車中泊でも安心!コーヒーミル掃除に役立つ便利な道具たち

水洗いが難しいコーヒーミルを清潔に保つためには、いくつかの専用道具が必要になります。これらは特別なものではなく、ホームセンターや100円ショップ、カメラ用品店などで手軽に入手できるものばかりです。特に車中泊やキャンプといった水が貴重な環境では、これらの道具を使いこなすことがメンテナンスの要となります。ここでは、揃えておくと劇的にお手入れが楽になる、おすすめの掃除道具たちをご紹介します。
これがないと始まらない!専用ミルブラシの選び方
コーヒーミルの掃除において、最も基本的かつ必須のアイテムが「ミルブラシ」です。これは刃の溝や隙間に入り込んだ細かい粉を掃き出すためのブラシで、これがないと掃除は始まらないと言っても過言ではありません。ミルを購入した際に付属品として付いてくることもありますが、もし持っていない場合は一本購入することをおすすめします。選ぶ際のポイントは、毛の硬さと長さです。柔らかすぎる毛では固まった粉をかき出せないので、適度なコシがある「豚毛」や「ナイロン製」のものが適しています。
柄の長さも使い勝手に影響します。深さのあるミルや電動ミルの奥を掃除する場合は、柄が長いタイプのほうが届きやすく便利です。一方、車中泊での携帯性を重視するなら、短めのブラシが収納しやすく邪魔になりません。また、静電気が起きにくい素材を選ぶと、掃き出した粉がブラシにまとわりつかず、ストレスなく作業ができます。おしゃれな木製ハンドルのものから実用的な樹脂製のものまで様々ですので、自分のスタイルに合った一本を見つけてみてください。
隙間の微粉を一撃!エアダスター(ブロワー)の威力
ブラシだけではどうしても届かない奥まった場所や、入り組んだ刃の隙間の粉を取り除くのに最強のアイテムが「エアダスター」や「ブロワー」です。これらは本来、カメラのレンズやパソコンのキーボードのホコリを吹き飛ばすための道具ですが、コーヒーミルの掃除にも絶大な威力を発揮します。シュッと一吹きするだけで、内部に溜まった微粉が勢いよく吹き飛び、驚くほどきれいになります。車中泊では掃除機を使うのが難しい場合も多いため、空気の力で汚れを飛ばせる道具は非常に重宝します。
エアダスターには、スプレー缶に入ったガス噴射タイプと、手でゴム球を握って風を送る手動のブロワータイプがあります。ガスタイプは風圧が強く一気にきれいにできますが、ゴミが出るためアウトドアでは手動のゴム製ブロワーがおすすめです。カメラ用品売り場や100円ショップでも購入でき、電池もガスも不要で繰り返し使えるため経済的です。ただし、室内や車内で使用すると吹き飛ばした粉が舞い散るため、必ず屋外で作業するか、ゴミ箱の上で行うようにしましょう。
仕上げに必須!乾いた柔らかい布とキッチンペーパー
ブラシとエアダスターで粉を取り除いた後、仕上げの拭き上げに使うのが「乾いた布」や「キッチンペーパー」です。ミルの表面についた手垢や、粉受けに残った油分を拭き取るのに使います。コーヒー豆には油分が含まれているため、粉を取り除いただけでは薄い油膜が残っていることがあります。これを放置すると酸化してベタつきの原因になるため、定期的に乾拭きをしてあげることが大切です。
布を選ぶ際は、繊維が抜けにくい素材が良いでしょう。マイクロファイバークロスなどは汚れを絡め取る力が強く、ミルのボディを傷つけにくいためおすすめです。車中泊では、使い捨てができるキッチンペーパーが衛生的で便利です。少し厚手のタイプを選べば、破れにくくしっかりと油分を拭き取ることができます。ただし、水拭きはサビの原因になるため、基本的には「乾拭き」を徹底してください。汚れがひどい場合のみ、ごく少量のアルコールを含ませて拭き、すぐに乾いた布で仕上げると良いでしょう。
細かい溝の汚れをかき出す爪楊枝や竹串
ブラシの毛先さえ入らないような細かいネジの頭や、刃の根元の隙間に固まってしまった古い粉を除去するには、「爪楊枝」や「竹串」が活躍します。金属製の針金などを使うと、刃や本体に傷をつけてしまう恐れがありますが、木製の爪楊枝なら適度な柔らかさがあるため、本体を傷つけずに汚れだけをこそぎ落とすことができます。特に長く使っていなかったミルを久しぶりに掃除する場合、油分と混ざってカチカチに固まった粉が出てくることがありますが、そういった頑固な汚れには爪楊枝が最適です。
先端が汚れてきたり、折れてしまったりしたらすぐに新しいものに取り替えられるのもメリットです。コストもほとんどかかりませんし、車中泊の調理用具の中に常備している方も多いでしょう。綿棒も同様に細かい部分の掃除に使えますが、綿の繊維が刃のギザギザに引っかかって残ってしまうことがあるため、場所によっては爪楊枝のほうが使いやすい場合があります。両方用意しておくと、状況に合わせて使い分けられて便利です。
【車中泊向け】コンパクトに収納できるメンテナンスセット
車中泊やキャンプにコーヒーミルを持ち出すなら、これらのお手入れ道具をひとまとめにした「メンテナンスセット」を作っておくと便利です。小さなポーチや巾着袋に、短めのミルブラシ、小型のブロワー、数本の爪楊枝、そしてウエス(布)を入れておきます。これらをミルのすぐそばに収納しておけば、コーヒーを淹れた直後にササッとお手入れができ、常に清潔な状態を保つことができます。
特にアウトドアでは、「後でやろう」と思っていると、暗くなったり撤収作業に追われたりして、つい掃除を忘れてしまいがちです。道具がすぐに取り出せる場所にあれば、お湯を沸かしている待ち時間や、コーヒーを飲み終わった後のまったりタイムに、楽しみながら道具の手入れができます。自分の愛用する道具を自分の手でケアする時間は、不便を楽しむキャンプや車中泊ならではの豊かな時間でもあります。ぜひ、自分だけの専用メンテナンスキットを組んでみてください。
手動(手挽き)コーヒーミルの詳しい掃除手順

ここからは、実際に手動ミルを掃除する具体的な手順を解説します。手動ミルは構造が比較的シンプルなので、慣れれば分解しての掃除もそれほど難しくありません。しかし、毎回分解するのは大変ですので、日々の簡単なケアと、時間があるときのしっかりケアを使い分けるのがおすすめです。ここでは、分解しない簡易清掃と、分解して行う本格的な清掃の両方をご紹介します。
毎回の使用後にやっておきたい簡易的なお掃除
コーヒーを挽いて飲み終わった直後、あるいはミルの使用後に行うべきなのが「簡易清掃」です。これは分解せずに行うもので、所要時間は1分もかかりません。まず、粉受けに溜まった微粉をゴミ箱に捨てます。次に、ミルブラシを使って、ホッパー(豆を入れる部分)の内側や、粉の排出口付近に残っている粉を払い落とします。最後にブロワーでシュッと一吹きして、奥に残った粉を飛ばせば完了です。
この簡単な作業を毎回行うだけで、古い粉が蓄積するのを大幅に防ぐことができます。特に粉受けの四隅や底には粉が残りやすく、放置すると酸化して次のコーヒーの味を損なう原因になります。車中泊の車内であれば、ゴミ箱の上で逆さまにしてトントンと叩き、ブロワーで吹くだけでも十分効果があります。「使い終わったら粉を残さない」という習慣をつけることが、美味しいコーヒーへの第一歩です。
本格的な分解掃除に挑戦!まずは構造を理解しよう
月に一度や、豆の種類を変えるタイミングでは、分解して内部の刃まで掃除することをおすすめします。分解といっても、手動ミルの多くは工具なしで手で回せるネジだけで構成されています。まずはハンドルの上部にある留めネジを外し、ハンドル、ストッパー、調整ダイヤルといったパーツを順番に取り外していきます。このとき、パーツを取り外した順番と向きを必ず覚えておくことが重要です。
初心者が一番陥りやすい失敗が、「組み立て方がわからなくなる」ことです。これを防ぐために、パーツを一つ外すごとにスマートフォンで写真を撮っておくか、外したパーツを順番通りにテーブルの上に一列に並べておくと安心です。特にワッシャーなどの小さな部品は紛失しやすいので、トレーやタッパーの上で作業を行うと良いでしょう。構造を理解しながら分解することで、ミルへの愛着もより一層湧いてきます。
刃(臼)の溝に詰まった粉をブラシで丁寧に取り除く
分解が進み、心臓部である刃(臼)が露出したら、いよいよメインの掃除です。刃には「内刃」と「外刃」がありますが、それぞれの溝に茶色い粉がこびりついているはずです。ここでミルブラシの出番です。ブラシを溝に沿って動かし、詰まっている粉を丁寧にかき出します。ブラシで落ちない硬い汚れは、爪楊枝を使ってカリカリと落としていきましょう。セラミック刃で水洗い可能な場合は、ここで水洗いをしますが、金属刃の場合はブラシとエアダスターのみで徹底的に粉を除去します。
刃の裏側や、軸が通っていた穴の中なども意外と汚れています。綿棒や細くよじったティッシュなどを使って、拭き取れる汚れは全て落とします。この作業を行うことで、挽き心地が軽くなったり、粒の揃い方が改善されたりすることも珍しくありません。新品のような輝きを取り戻した刃を見ると、非常に気持ちが良いものです。
分解したパーツを元に戻すときのコツと注意点
掃除が終わったら、逆の手順で組み立てていきます。並べておいたパーツを、最後に取り外したものから順に戻していきます。このとき、調整ダイヤルやバネの向きに注意してください。間違った向きで無理に締め込むと、ネジ山が潰れたり、正常に挽けなくなったりします。スムーズに入らない場合は、一度緩めて確認し直しましょう。
組み立て終わったら、実際にハンドルを回してみて、スムーズに動くか、刃が擦れる異音がしないかを確認します。最後に、挽き目(粒度)の調整を行います。分解すると挽き目の設定がリセットされてしまうため、普段飲んでいる好みの粗さになるよう、少し豆を挽いてテストしながら調整し直す必要があります。これでメンテナンスは完了です。
電動コーヒーミルの正しいお手入れとメンテナンス

車中泊でポータブル電源を使用して電動ミルを使っている方や、自宅でのケアを知りたい方のために、電動ミルの掃除方法も解説します。電動ミルはパワーがあり便利ですが、構造が複雑で粉が内部に残りやすい傾向があります。水洗いができない部分が大半ですので、ドライクリーニングのテクニックが重要になります。
感電事故を防ぐために必ずコンセントを抜く
基本中の基本ですが、電動ミルの掃除を始める前には、必ず電源プラグをコンセントから抜いてください。充電式の場合は、スイッチが誤って入らないようにロックするか、電池を抜いておくのが安全です。掃除中に誤ってスイッチに触れてしまい、刃が回転すると大怪我につながる危険性があります。ブラシが巻き込まれてミルが破損することもありますので、安全確保は最優先で行いましょう。
特に刃の周りを指やブラシで触る作業が発生するため、通電していないことを確認するプロセスは絶対に省略しないでください。「ちょっと粉を払うだけだから」という油断が事故を招きます。安全な状態で落ち着いて作業することが、丁寧なメンテナンスにつながります。
ホッパーと粉受けの汚れを徹底的に落とす
電動ミルで最も汚れやすいのは、豆を入れる「ホッパー」と、挽かれた粉が溜まる「粉受け」です。これらのパーツは多くの機種で取り外しが可能になっています。取り外せるプラスチック製やガラス製のパーツであれば、中性洗剤を使って水洗いし、油分をすっきりと落とすことができます。ただし、洗った後は完全に水気を拭き取り、風通しの良い場所でしっかりと乾燥させてください。水分が残ったまま本体に取り付けると、カビや本体故障の原因になります。
取り外しができないタイプのホッパーの場合は、アルコールを含ませたウェットティッシュやキッチンペーパーで内側を拭き取ります。油分が酸化して黄色く変色していることがあるので、念入りに拭き取りましょう。その後、乾いた布で仕上げ拭きをして、アルコールの成分や水分が残らないようにします。
静電気で張り付いた頑固な粉の除去テクニック
電動ミル特有の悩みが「静電気」です。高速で回転するため静電気が発生しやすく、排出口や粉受けの壁面に微粉がびっしりと張り付いてしまうことがあります。これを放置すると、塊になって落下し、コーヒーの味を悪くします。この張り付いた粉を取るには、静電気除去機能のあるブラシを使うか、または通常のブラシで払い落とした後に、固く絞った濡れタオルで外側などを拭いて湿度を与える等の工夫が有効ですが、内部には水分厳禁です。
最も効果的なのはエアダスターです。排出口に向かって(粉が舞うのでゴミ箱や袋を当てがいながら)空気を吹き込むと、静電気で張り付いていた粉が一気に吹き出てきます。また、トントンと本体を軽く叩いて粉を落とすのも有効ですが、精密機械なので叩きすぎには注意してください。最近では静電気対策がされたミルも販売されていますが、完全に防げるわけではないので、定期的な掃除は必須です。
刃が取り外せないタイプのお手入れはどうする?
プロペラ式などの安価な電動ミルや、一部の据え置き型ミルでは、刃が簡単に取り外せない構造のものがあります。この場合は、本体を逆さまにして粉を落とすか、ブラシとエアダスターを駆使して掃除します。プロペラ式の場合は、カップの中に粉が溜まりやすいので、ブラシでかき出しながら、ティッシュで拭き取る作業を繰り返します。
どうしても刃の裏側の汚れが気になる場合は、メーカーが推奨している洗浄用の錠剤(グラインダー用クリーナー)を使用する方法もあります。これは食べられる素材(穀物など)で作られた錠剤をコーヒー豆の代わりに挽くことで、油分や粉を吸着して排出してくれるものです。ただし、全てのミルに対応しているわけではないので、使用前に必ず説明書を確認してください。基本的には、見える範囲をブラシと空気できれいに保つだけで十分な性能維持が可能です。
車中泊やアウトドアで実践したい!水を使わない簡易清掃

ここからは、水が限られる車中泊やキャンプシーンに特化した、実践的なテクニックを紹介します。家に帰ってからしっかり掃除するとしても、旅の途中でもできるだけきれいな状態で使いたいものです。水を使わずに清潔を保つ知恵は、災害時などにも役立つかもしれません。
貴重な水を節約するための「拭き取り」中心ケア
車中泊では、飲み水や料理用の水はあっても、洗い物に使える水は限られています。そこで活躍するのが、キッチンペーパーや乾いた布による「拭き取り」です。ミルの粉受けなどは、水で洗わなくても、キッチンペーパーでギュッギュッと拭き取るだけで、目に見える汚れや油分はかなり落ちます。特に油汚れには紙が有効です。
ブラシで粉を払った後、仕上げにペーパーで拭く。これだけで、見た目も衛生的にもかなりスッキリします。使ったペーパーはそのまま焚き火の着火剤として使ったり(キャンプ場の場合)、ゴミとして小さくまとめて捨てたりできるので、後片付けも楽ちんです。「洗わなきゃ」という固定観念を捨て、「拭けばきれいになる」と割り切るのが、アウトドアでの快適な道具付き合いのコツです。
アルコール除菌シートは使っても大丈夫?
手軽に掃除ができる「アルコール除菌シート」や「ウェットティッシュ」は、車中泊の必需品ですが、コーヒーミルに使っても良いのでしょうか?結論としては、「プラスチック部分や金属の外装には使えるが、内部の刃やアクリル樹脂には注意が必要」です。アルコールは油分を分解する力があるので、ホッパーのベタつきなどを取るのには非常に便利です。
しかし、素材によってはアルコールで変色したり、ひび割れ(ケミカルクラック)を起こしたりする樹脂があります(特にポリスチレンなど)。また、木製部分に使うと塗装が剥げることもあります。使用する場合は、成分を確認し、まずは目立たない場所で試してから使いましょう。そして、内部の刃に使う場合は、食品にかかっても安全な成分のもの(食品用アルコールなど)を選び、使用後はしっかり乾燥させてアルコール分を飛ばすことが大切です。基本的には外側の汚れ落としとして使うのが無難です。
どうしても汚れが気になるときの「通し挽き」とは
長期間の車中泊旅などで、どうしても内部の油臭さが気になってきたけれど分解はできない、という時に使える裏技が「通し挽き(とも挽き)」です。これは、少量の新しいコーヒー豆を、掃除のためだけに挽いて、その粉を捨ててしまうという方法です。新しい豆が内部を通ることで、古い酸化した粉や油分を一緒に押し出してくれます。
もったいないと感じるかもしれませんが、ほんの数グラム(10粒程度)で構いません。安い豆や、古くなって飲むには適さない豆があればそれを使いましょう。これにより、ミルの内部が新しい豆のオイルでコーティングされ直され、酸化臭がリセットされます。水も道具も使わずに内部をリフレッシュできる、コーヒー専門店でも行われる理にかなった方法です。
車中泊での保管ポイント
掃除をした後のミルは、湿気を避けて保管しましょう。車内は結露が発生しやすいため、密閉できる袋に入れたり、乾燥剤と一緒にケースに入れたりするのがおすすめです。湿気はサビの大敵ですので、夜間の冷え込みには特に注意してください。
コーヒーミルの汚れを放置するとどうなる?掃除の頻度は?

「少しくらい粉が残っていても大丈夫だろう」と思ってしまいがちですが、なぜここまで掃除が推奨されるのでしょうか。それは、汚れがコーヒーの味に直結するからです。最後に、汚れを放置することのデメリットと、理想的な掃除の頻度について解説します。これを知れば、面倒な掃除も「美味しい一杯のため」と前向きに取り組めるはずです。
酸化した古い粉が引き起こす「嫌な酸味」と「えぐみ」
コーヒー豆は生鮮食品です。焙煎直後から酸化が進んでいきますが、粉砕して表面積が増えると、そのスピードは爆発的に速くなります。ミルの内部に残った微粉は、空気と触れ続けて完全に酸化した状態、いわば「腐った油」のような状態になります。掃除をせずに新しい豆を挽くと、この酸化した粉が混入してしまいます。
その結果、本来の豆が持つフルーティーな酸味とは全く異なる、刺すような「嫌な酸味」や、喉にイガイガと残る「えぐみ」「渋み」が発生します。「最近コーヒーが美味しくないな」「雑味がするな」と感じたら、豆のせいではなく、ミルの汚れが原因である可能性が高いのです。クリアで透き通るような美味しさを味わうためには、邪魔なノイズ(古い粉)を取り除くことが不可欠です。
油分が固まって動作不良の原因に
味だけでなく、機能面でも悪影響があります。深煎りの豆などは表面に多くの油分が出ていますが、この油と微粉が混ざると、粘土のような粘り気のある汚れになります。これが刃の隙間や回転軸に蓄積すると、セメントのように硬く固まってしまいます。
こうなると、粒の大きさを調整するダイヤルが動かなくなったり、ハンドルが重くなったり、最悪の場合はモーターに負荷がかかって故障したりします。また、挽いた粉の粒度がバラバラになり、抽出が安定しなくなることもあります。ミルを長く快適に使い続けるためにも、汚れが固着する前に取り除く必要があります。
理想的な掃除の頻度は?「毎回」と「定期」の使い分け
では、どのくらいの頻度で掃除をすればよいのでしょうか。理想を言えば、「簡易清掃は毎回」「分解清掃は月に1回」が目安です。毎回の使用後にブラシとブロワーでサッと粉を払うだけで、汚れの蓄積は防げます。これは歯磨きのようなもので、毎日の習慣にしてしまえば苦になりません。
そして、月に一度、あるいは「豆の種類を大きく変えるとき(深煎りから浅煎りに変えるなど)」には、分解掃除や念入りなケアを行いましょう。前の豆の香りや味が混ざるのを防ぎ、新しい豆の個性を100%楽しむことができます。車中泊の旅から帰ってきたら、道具への感謝を込めてメンテナンスをする、というサイクルを作るのも素敵ですね。
まとめ:コーヒーミルの洗い方をマスターして至福の一杯を
コーヒーミルの洗い方について、水洗いの可否から具体的な手順、車中泊での工夫まで解説してきました。大切なポイントを振り返りましょう。
コーヒーミルは、単に豆を砕く道具ではなく、コーヒーの味を決める重要なパートナーです。正しい洗い方とお手入れを習慣にすることで、道具は長持ちし、毎回のコーヒータイムがより豊かで美味しいものになります。車中泊という特別な環境でも、少しの工夫で清潔を保つことは十分可能です。ぜひ、次の旅ではピカピカのミルで挽いた、最高の一杯を楽しんでください。


