車中泊の旅は、自由気ままで非日常的な体験ができる素晴らしい時間です。しかし、普段の生活とは異なる環境だからこそ、ちょっとした日常の動作に戸惑うこともあります。
その代表的な悩みが、「コンタクトレンズをどうやって外すか」という問題ではないでしょうか。「暗い車内で鏡が見えない」「近くに手を洗える水道がない」「洗浄液をこぼしてしまったらどうしよう」といった不安は、多くの車中泊ユーザーが一度は抱えるものです。
特に初めての車中泊や、設備が整っていない場所での宿泊では、コンタクトレンズのケアをおろそかにしてしまいがちです。ですが、目のトラブルはせっかくの楽しい旅を台無しにしてしまう可能性があります。安全かつ快適に旅を続けるためには、車中泊環境に合わせた適切な準備と手順を知っておくことが大切です。
この記事では、水が使えない状況でも清潔にコンタクトレンズを外す方法や、車中泊におすすめのレンズの種類、そして絶対にやってはいけないNG行動などを詳しく解説します。これから車中泊デビューをする方も、すでに楽しんでいる方も、ぜひ参考にしてクリアな視界で旅を楽しんでください。
車中泊でコンタクトレンズを外すタイミングと環境づくり

車中泊において、コンタクトレンズを外すタイミングと環境づくりは、目の健康を守るための第一歩です。自宅の洗面所のように明るくて水がすぐに使える環境とは異なり、車内は狭く、夜になれば真っ暗になります。また、停車する場所によってはプライバシーの確保も課題となります。計画的に準備をしておかないと、疲れ切って眠い中、暗闇でコンタクトを外すというストレスフルな状況に陥りかねません。まずは、スムーズにレンズをケアするための土台作りについて、具体的なポイントを見ていきましょう。
日没前の明るい時間帯に済ませるのがベストな理由
車中泊をする際、コンタクトレンズを外すタイミングとして最もおすすめなのは、まだ外が明るいうち、つまり「日没前」です。これにはいくつかの重要な理由があります。まず最大の理由は、自然光がある方が手元や鏡が見やすく、安全にレンズを外せるからです。車内の照明は自宅の照明に比べて暗いことが多く、影ができやすいため、細かなホコリやレンズの状態を確認するのが難しくなります。
また、日が暮れてから車のドアを開け閉めして準備をしていると、虫が車内に入ってくるリスクも高まります。明るいうちに食事や寝床の準備と合わせてコンタクトレンズも外してメガネに切り替えておけば、夜はリラックスして過ごすことができます。「まだ寝ないから」といってギリギリまでつけているよりも、早めにメガネに変えて目を休ませることで、翌日の運転や観光に向けた目のコンディションを整える効果も期待できます。
さらに、万が一レンズを落としてしまった場合でも、明るいうちなら見つけられる可能性が高くなります。暗い車内で透明なレンズを落とすと、捜索は困難を極めます。シートの隙間に入り込んだり、踏んでしまったりするトラブルを避けるためにも、視界が良好な時間帯にケアを済ませるのが賢明です。
車内を明るく照らすための照明テクニックと設置場所
どうしても夜間にコンタクトレンズを外さなければならない状況ももちろんあります。そんな時に備えて、車内を明るく保つための照明テクニックを知っておきましょう。車のルームランプだけでは光量が足りなかったり、バッテリー上がりが心配だったりするため、別途LEDランタンやヘッドライトを用意するのが基本です。
照明を設置する際は、光源の位置が重要です。鏡に向かったとき、自分の背中側にライトがあると、顔が影になってしまい手元がよく見えません。理想的なのは、鏡の近くや斜め前から顔全体を照らすような配置です。マグネット式のLEDライトであれば、車内の金属部分に取り付けて角度を調整できるので非常に便利です。また、吊り下げ式のランタンをアシストグリップなどにかけ、全体を明るくするのも良いでしょう。
ヘッドライトを使う場合は、直接鏡を見ると反射して眩しいので、首から下げて手元を照らすようにするか、頭に装着して少し上向きに角度を調整すると良いでしょう。最近では、クリップ式でサンバイザーに挟めるライトや、充電式のコンパクトなライトも100円ショップなどで手に入ります。複数の光源を確保しておくと、死角が減り、レンズケースの蓋などの小さな部品を紛失するリスクも減らすことができます。
鏡を置くスペースの確保と見やすくする工夫
コンタクトレンズの着脱に欠かせないのが「鏡」です。車にはサンバイザーの裏にバニティミラーがついていることが多いですが、車種によっては小さすぎたり、照明がなくて暗かったり、位置が高すぎて使いにくいことがあります。そのため、車中泊用に独立した鏡を用意することをおすすめします。
鏡を置くスペースとしては、ハンドルテーブルやダッシュボード、あるいはフラットにした後部座席の上が考えられます。しかし、車内は不安定な場所が多いため、スタンド自体がしっかりとしたものを選ぶ必要があります。角度調整ができる卓上ミラーが便利ですが、走行中の振動で倒れたり割れたりしないよう、収納場所も決めておきましょう。
見やすくする工夫として、拡大鏡付きのミラーを選ぶのも一つの手です。薄暗い車内でも、拡大鏡を使えば目の位置やレンズの状態がはっきりと見えます。また、鏡の周りにLEDライトが埋め込まれている「女優ミラー」のようなタイプも、USB充電式のコンパクトなものが販売されており、車中泊には最適です。鏡を膝の上に置いて作業する場合は、滑り止めマットを敷くと安定感が増し、両手がフリーになるので作業効率が格段に上がります。
プライバシーシェードを活用して落ち着ける空間を作る
コンタクトレンズを外す際は、目を大きく開けたり、鏡に顔を近づけたりと、あまり人に見られたくない無防備な表情になるものです。特に道の駅やサービスエリアなどの公共駐車場では、周囲の車や歩行者の視線が気になってしまうことがあります。焦って作業をすると、角膜を傷つけたりレンズを破損したりする原因になります。
そこで重要になるのが、プライバシーシェード(サンシェード)やカーテンの活用です。これらを使って車内の目隠しを完全にすることで、外からの視線を遮断し、自分だけのプライベート空間を作ることができます。精神的に落ち着いた状態でケアを行うことは、安全のために非常に大切です。
全ての窓を塞ぐのが面倒な場合でも、少なくとも自分が座って作業をする場所の近くの窓だけは目隠しをしましょう。フロントガラスや運転席・助手席の窓をシェードで覆うだけでも、かなり安心感が違います。また、シェードをすることで車内の光が外に漏れるのを防ぐ効果もあります。夜間に車内で明かりをつけていると外からは丸見えになりがちですが、遮光性の高いシェードを使えばその心配もありません。落ち着いてケアができる環境を整えることは、快適な車中泊の基本テクニックの一つです。
水が使えない場所でも安心!清潔にレンズを外す手順とアイテム

車中泊で最も困るのが「水」の問題です。キャンプ場やRVパークのように炊事場が使える場所なら良いのですが、道の駅やパーキングエリアのトイレの手洗い場は、コンタクトレンズのケアをする場所としては衛生的にもマナー的にも適していないことが多いです。また、人目も気になりますし、洗面台にレンズを落として流してしまうリスクもあります。
そのため、車中泊では「車内で」「少量の水で」「清潔に」レンズを外すスキルを身につけておく必要があります。ここでは、近くに水道がない環境でも、衛生面をクリアしながら安全にコンタクトレンズを外すための具体的な手順と、役立つアイテムを紹介します。これさえ準備しておけば、どんな場所でも安心して夜を迎えることができます。
近くにトイレや炊事場がない時の手洗いシミュレーション
車内でコンタクトレンズを扱う場合、最大のリスクは「手の汚れ」です。運転をした後のハンドル、ドアノブ、スマートフォンの画面など、手には目に見えない雑菌がたくさん付着しています。水道が使えないからといって、そのままの手で目に触れるのは絶対に避けなければなりません。
まずおすすめなのは、車内に「簡易手洗い場」を作ってしまうことです。用意するのは、水を入れたポリタンク(または大きめのペットボトル)と、水を受けるためのボウルや桶、そしてハンドソープです。ポリタンクにコックが付いているタイプなら、片手で水を出せるので便利です。ボウルの上で手を洗い、汚水はあとでまとめて処理できるようにしておきます。
しかし、そこまでの装備がない場合や、もっと手軽に済ませたい場合もあるでしょう。その際は、「拭き取り」と「消毒」を組み合わせた方法をとります。いきなり消毒ジェルを使うと、泥や油汚れと混ざってしまうことがあるため、まずはウェットティッシュで物理的な汚れをしっかり拭き取ることが重要です。指先だけでなく、手のひらや手首まで拭きましょう。その後、速乾性の手指消毒用アルコールジェルを使用し、指の間や爪の間まで擦り込みます。ここでのポイントは、アルコールが完全に乾くまで待つこと。アルコールが残った状態で目に触れると激痛が走り、目を痛める原因になります。
指がレンズに触れない!着脱器具「メルル」の活用法
手が完全に清潔かどうかわからない状況でのコンタクト着脱は不安が残ります。そんな車中泊ユーザーの救世主とも言えるアイテムが、コンタクトレンズつけはずし器具「meruru(メルル)」です。これは、指先を使わずにレンズをつけたり外したりできる専用のスティックとピンセットのセットです。
使い方はシンプルですが、少しコツがいります。外すときは、専用のピンセットの先端にあるシリコン部分でレンズを優しく挟んで取り出します。指が直接目やレンズに触れないため、手洗いが十分にできない環境でも非常に衛生的です。装着するときも、専用のスティックにレンズを乗せて目に運ぶだけなので、指の皮脂汚れがレンズにつく心配がありません。
最初は慣れが必要なので、車中泊の本番でいきなり使うのではなく、自宅で何度か練習しておくことを強くおすすめします。メルル自体の洗浄も必要ですが、使用後にアルコール除菌シートで拭くか、少量の水で洗って自然乾燥させるだけで済むため、手洗いよりも管理が楽です。車中泊の必需品リストにぜひ加えておきたいアイテムの一つです。
ウェットティッシュと消毒ジェルを併用する時の注意点
ウェットティッシュと消毒ジェルは車中泊の衛生管理において最強のコンビですが、目の周りに使う場合には特有の注意点があります。一般的なウェットティッシュには、アルコール成分や香料、防腐剤などが含まれていることが多く、これで指を拭いた直後に目に触れると、成分が目に入って刺激を与える可能性があります。
コンタクトレンズのケア前には、「純水99%」などの表記がある、余計な成分が含まれていない赤ちゃん用のおしりふきや、手口拭き用のウェットティッシュを使用するのが理想的です。アルコール入りの除菌シートを使う場合は、拭いた後に成分が揮発して乾くまでしっかりと時間を置くか、最後に清潔な水ですすぐ工程を入れる必要があります。
また、消毒ジェルにも保湿成分(グリセリンなど)が含まれているものがあります。これが指に残っていると、レンズがヌルヌルして掴みにくくなったり、レンズ表面が曇ったりする原因になります。車中泊用には、保湿成分が少なく、サラッとした使い心地の消毒用エタノールを選ぶか、使用後に再度純水ウェットティッシュで指先だけ拭うなどの工夫をすると、より快適に操作できます。清潔さと目の安全のバランスを考えた使い分けが大切です。
清潔なペットボトルの水を最後に使う「すすぎ」の重要性
ウェットティッシュや消毒ジェルで手をきれいにしたとしても、化学成分が指に残っている不安は完全に拭えません。そこで提案したいのが、最終仕上げとして「飲料用のペットボトルの水ですすぐ」という工程です。これは最もシンプルかつ効果的な安全策です。
未開封のミネラルウォーターは滅菌処理されているものが多く、水道水よりも清潔な場合があります(※硬水ではなく軟水を選びましょう)。手順は簡単です。まず前述の方法で手の汚れを落とし消毒します。そして最後に、ペットボトルのキャップ一杯分程度の水を指先にかけ、消毒液の成分やウェットティッシュの繊維を洗い流します。この「ひと手間」を加えるだけで、目への刺激リスクを大幅に減らすことができます。
この時、もったいないからといって飲みかけのペットボトルの水を使うのは避けてください。口をつけたペットボトル内では雑菌が繁殖している可能性があります。コンタクトケア用として、500mlのペットボトルを1本専用に確保しておくか、未開封の新しいものをその都度開けるようにしましょう。この水は、外した後のレンズケースをすすぐのにも使えるので、1本あると非常に重宝します。
1day派?2week派?車中泊におすすめのコンタクトレンズの種類

普段、あなたはどのようなタイプのコンタクトレンズを使用していますか?1日使い捨ての1dayタイプ、2週間交換の2weekタイプ、あるいは長期使用のハードレンズなど、ライフスタイルによって様々でしょう。しかし、車中泊という特殊な環境においては、普段使いのレンズが必ずしも最適とは限りません。
衛生管理の難しさや、ケア用品の持ち運びの手間を考えると、旅行中だけはレンズの種類を変えるという選択肢も検討すべきです。ここでは、車中泊における各レンズタイプのメリット・デメリットを整理し、なぜ特定のタイプが推奨されるのかを詳しく解説します。快適な旅のために、最適なレンズ選びを考えてみましょう。
ケア用品不要で荷物が減る1dayコンタクトの圧倒的メリット
結論から言うと、車中泊において最もおすすめなのは「1day(ワンデー)コンタクトレンズ」です。その最大の理由は、圧倒的な「手軽さ」と「衛生面」のメリットにあります。1dayタイプであれば、外したらそのままゴミ箱に捨てるだけでケアが完了します。洗浄液でこすり洗いをして、ケースに入れて保存液に浸す…といった面倒な工程が一切不要です。
車中泊では、洗浄液のボトルや保存ケースを持ち歩くこと自体が荷物になりますし、走行中の振動で液漏れするリスクもあります。また、暗い車内で洗浄作業を行うのは難しく、汚れを十分に落としきれない可能性もあります。1dayなら、常に新品の滅菌されたレンズを目に入れることができるため、結膜炎などのトラブルリスクを最小限に抑えられます。
普段は2weekやハードレンズを使っている人でも、車中泊やキャンプの日だけは1dayに切り替えるという「使い分け」をしている人は非常に多いです。眼科で相談すれば、旅行用として数日分だけ処方してもらうことも可能です。コストは多少割高になりますが、ケアの手間と目の安全をお金で買うと考えれば、十分に価値のある投資と言えるでしょう。
予備のレンズを多めに持っていくべき理由と収納方法
車中泊の旅では、予期せぬハプニングがつきものです。レンズを装着しようとしたら風で飛ばされてしまった、指から滑り落ちて砂利の上に落ちた、目が乾燥してレンズが破れてしまった…といったトラブルは珍しくありません。近くにドラッグストアやコンタクトレンズ販売店がない山奥や海辺にいることも多いため、現地での調達はほぼ不可能です。
そのため、コンタクトレンズは必ず「宿泊日数+予備数日分」を持っていくようにしましょう。1dayであれば、左右それぞれ3〜5枚程度多めに持っておくと安心です。かさばるものではないので、多すぎて困ることはありません。また、レンズだけでなく、普段使っているメガネも必ず持参してください。目の調子が悪くなった時に、すぐにメガネに切り替えられる準備が必須です。
収納方法にも一工夫が必要です。箱のまま持っていくと潰れてしまうことがあるので、100円ショップなどで売っている硬めのピルケースや、小さなプラスチック容器に小分けにして入れるのがおすすめです。左右の度数が違う場合は、ケースにマスキングテープで「右」「左」と書いて貼っておくか、色違いのケースに入れるなどして、薄暗い車内でも瞬時に判別できるようにしておきましょう。
2weekやハードレンズを使用する場合の必須ケア用品
コスト面や視力矯正の都合で、どうしても2weekレンズやハードレンズを使いたい場合もあるでしょう。その場合は、万全のケア用品セットを準備する必要があります。必須アイテムは、洗浄保存液、レンズケース、そして鏡です。洗浄液はトラベル用のミニボトルが販売されていますが、長期の旅になる場合は通常サイズの方が安心かもしれません。
特に注意したいのがレンズケースの管理です。洗った後のケースを自然乾燥させる必要がありますが、車内は湿度が高くなりやすく、雑菌が繁殖しやすい環境です。使用後のケースは水分をよく切り、できればダッシュボードの上など日光が当たる場所(高温になりすぎないよう注意)で乾かすか、清潔なティッシュで拭き取るなどの配慮が必要です。
また、ハードレンズの場合は、吸盤(スポイト)もあると便利です。目が乾燥してレンズが張り付いてしまった時、無理に指で外そうとすると角膜を傷つける恐れがありますが、スポイトがあれば安全に外せます。2weekやハードを使う場合は、「家と同じようにはいかない」ことを肝に銘じ、普段以上に丁寧なケアを心がけてください。
連続装用可能なレンズという選択肢とそのリスク
コンタクトレンズの中には、「連続装用」が認可されているタイプがあります。これは、眼科医の指導のもと、寝ている間もレンズをつけたままで過ごすことができるものです。1週間連続装用などの製品があり、これを車中泊で使えば「外す手間」そのものをなくすことができるように思えます。
しかし、車中泊での安易な連続装用はあまりおすすめできません。車内はエアコンの使用などで乾燥しやすく、ただでさえ目に負担がかかりやすい環境です。さらに、睡眠不足や運転による疲れが重なると、涙の量が減り、目への酸素供給が不足しがちになります。連続装用レンズを使用していても、目の充血や違和感を感じるリスクは通常より高まります。
もし連続装用レンズを検討する場合は、必ず事前に眼科医に相談し、「車中泊という環境で使用しても問題ないか」を確認してください。そして、少しでも目に異常を感じたら、すぐに外せるように準備をしておくことが重要です。基本的には、特別な事情がない限り、夜はレンズを外して目を休ませる「終日装用」スタイルの方が、安全に旅を続けるためには無難な選択です。
車中泊のコンタクトケアで絶対にやってはいけないNG行動

車中泊では、不便さからついつい「まあいいか」と横着をしてしまいがちです。しかし、目という臓器は非常にデリケートであり、一度感染症にかかると治療に時間がかかり、最悪の場合は視力障害が残ることもあります。楽しい旅の思い出を悲しいものにしないために、ここでは車中泊において絶対に避けるべきNG行動について解説します。これらのリスクを知っておくだけで、行動の優先順位が変わってくるはずです。
手を洗わずにそのままレンズに触れることの感染リスク
「ちょっとだけだから」「見た目は汚れていないから」といって、手を洗わずにレンズに触れることは絶対にNGです。前述したように、手には黄色ブドウ球菌などの細菌や、ウイルスが無数に付着しています。特にアウトドアを楽しんだ後の手には、土壌に含まれる菌もついている可能性があります。
汚れた手でレンズを触ると、レンズが細菌の培養皿のようになってしまい、結膜炎や角膜潰瘍(かいよう)などの重篤な眼病を引き起こす原因になります。痛みで目が開けられなくなれば、車の運転もできなくなり、レッカーを呼んで帰宅…ということにもなりかねません。どんなに疲れていても、眠くても、必ず「手洗い」か「消毒」の工程を経てから目に触れることを徹底してください。それができない状況なら、コンタクトを外さずに寝るのではなく、なんとかして水を確保するか、諦めてもっと設備の整った場所に移動する勇気も必要です。
水道水やミネラルウォーターでレンズを洗う危険性
洗浄液を忘れてしまったり、足りなくなったりした時に、「水で洗えばいいや」と考えるのは非常に危険です。ソフトコンタクトレンズは水分を含んで柔らかくなる性質がありますが、水道水やミネラルウォーターは涙とは浸透圧が異なるため、レンズが変形して目に張り付いたり、ゴロゴロしたりする原因になります。
さらに恐ろしいのが、「アカントアメーバ」による感染症です。アカントアメーバは水道水や井戸水、土壌などに広く生息している微生物です。これがレンズに付着して目に入り、角膜に侵入すると「アカントアメーバ角膜炎」を引き起こします。この病気は非常に痛みが強く、治療が困難で、最悪の場合は失明に至ることもあります。
ソフトコンタクトレンズは絶対に水につけてはいけません。ハードレンズの場合は水道水でのすすぎが可能なものもありますが、保存には専用の保存液が必要です。洗浄液がない緊急事態でも、水で代用するくらいなら、そのレンズは諦めて捨てるのが正解です。目の代わりはありませんが、レンズは買い直せます。
疲れているからといって装着したまま寝てしまった時の対処法
長距離運転やアクティビティで疲れ果て、うっかりコンタクトをつけたまま寝落ちしてしまう…。これは誰にでも起こりうることですが、目にとっては酸欠状態が続く危険な状態です。角膜は涙を通して酸素を取り込んでいますが、まぶたを閉じ、さらにレンズで蓋をされている状態では、酸素不足が深刻化します。
もし朝起きて「やってしまった!」と気づいたら、慌ててすぐにレンズを外そうとしてはいけません。乾燥してレンズが目に張り付いている状態で無理に剥がすと、角膜の表面(上皮)まで一緒に剥がれてしまい、激痛を伴う傷を作ってしまいます。
まずは、人工涙液などの防腐剤を含まない目薬をたっぷりと点眼し、数回まばたきをしてレンズに水分を補給します。レンズが動くようになったことを確認してから、ゆっくりと外してください。外した後はすぐに新しいレンズを入れるのではなく、できればその日はメガネで過ごし、目を休ませるようにしましょう。充血や痛みが続く場合は、旅先でも眼科を受診することを検討してください。
使用済みのレンズや洗浄液を車外に捨てるマナー違反
これは目の健康ではなく、車中泊ユーザーとしてのマナーの問題です。使い終わった1dayコンタクトレンズや、ケースに残った保存液を、駐車場の地面や植え込みに捨てる行為は絶対にしてはいけません。コンタクトレンズはプラスチック製品であり、自然に分解されることはありません。マイクロプラスチックとして環境を汚染する原因になります。
また、保存液を窓から外に流す行為も、成分によっては環境への影響が懸念されますし、何より周囲の人から見て気持ちの良いものではありません。車中泊では「来た時よりも美しく」が基本ルールです。車内には必ず小さなゴミ箱やゴミ袋を用意し、レンズ、綿棒、ティッシュなどのゴミは全て持ち帰りましょう。液体の処理に困る場合は、ティッシュや新聞紙に吸わせてから可燃ゴミとして処理するのがスマートな方法です。
快適な車中泊のために揃えておきたいアイケア便利グッズ

ここまで手順や注意点をお伝えしてきましたが、快適さをアップさせるためには「道具」の力も借りたいところです。車中泊という限られたスペースでも邪魔にならず、機能的なアイケアグッズをいくつか紹介します。これらをポーチにまとめて「車中泊アイケアセット」を作っておけば、準備もスムーズになります。
狭い車内でも使いやすいコンパクトで割れないミラー
鏡選びは重要ですが、ガラス製の鏡は割れるリスクがあるため車載には不向きな場合があります。おすすめなのは、アクリル製やステンレス製の「割れないミラー」です。これなら荷物に押し込まれても、落としても安心です。
形状としては、サンバイザーに挟むクリップタイプや、ヘッドレストの裏に取り付けられるタイプなど、車内の構造を利用できるものが便利です。また、折りたたみ式のスタンドミラーなら、LEDライト付きのものを選ぶと一石二鳥です。100円ショップの鏡でも十分使えますが、少し奮発してライト付きミラーを買うと、コンタクトの着脱だけでなく、メイクや髭剃りなど朝の身支度全般が快適になります。
乾燥した車内で目を守るための潤い用目薬
車中泊では、エアコンや暖房を一晩中つけっぱなしにすることも多く、車内の空気は想像以上に乾燥します。朝起きたら目がカピカピに乾いて開かない、なんてことも。そこで必携なのが「目薬」です。
選ぶポイントは、「コンタクトをしたまま使えるタイプ」と「裸眼用の高保湿タイプ」の2種類を用意すること、あるいは「防腐剤フリーの人工涙液」を選ぶことです。人工涙液(ソフトサンティアなど)なら、装着時も裸眼時も関係なく使え、余計な成分が入っていないので洗い流し用としても活用できます。寝る前に一滴、起きてすぐに一滴さすだけで、目の不快感は劇的に改善されます。
リラックスタイムに使えるホットアイマスクの効果
長時間の運転で目はかなり疲労しています。その疲れを翌日に持ち越さないために、「ホットアイマスク」の使用をおすすめします。使い捨ての蒸気が出るタイプなら、開封するだけで温かくなり、香り付きのものを選べばリラックス効果も抜群です。
目を温めると血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれます。また、マイボーム腺(まつげの生え際にある脂を出す腺)の詰まりを解消し、質の良い涙が出るのを助ける効果もあります。車中泊の夜、シュラフに入ってホットアイマスクをつければ、極上の癒やしタイムとなり、慣れない環境でもぐっすり眠れるようになるかもしれません。
細かいゴミをすぐに捨てられる蓋つきのミニゴミ箱
コンタクトレンズのブリスターパック(容器)やアルミ蓋、使用済みのレンズ、拭き取ったティッシュなど、アイケアには細かなゴミが出ます。これらをあちこちに置くと散らかりますし、寝ている間に紛失してしまいます。ドリンクホルダーに入るサイズの「蓋つきミニゴミ箱」があると非常に便利です。
カー用品店や100円ショップで販売されているボトル型ゴミ箱なら、蓋がついているので臭いも漏れず、倒れても中身がこぼれません。アイケアセットと一緒に手の届く場所に置いておけば、ゴミ捨てのストレスがなくなり、車内を常に清潔に保つことができます。
まとめ:車中泊でもコンタクトレンズを安全に外すポイント
車中泊でのコンタクトレンズケアについて、手順や便利グッズ、注意点を解説してきました。環境が整っていない車中泊だからこそ、事前の準備と正しい知識が目の安全を守る鍵となります。
最後に、重要なポイントを振り返ります。
車中泊コンタクトケアの鉄則
・明るいうちに外す:日没前の自然光がある時間がベスト。夜間は十分な照明を確保する。
・清潔を最優先に:水道がなくても、ウェットティッシュ+消毒ジェル+ペットボトルの水で手洗い環境を作る。
・1dayレンズを活用:ケア不要で衛生的。予備も多めに持参する。
・水道水は厳禁:レンズの洗浄には絶対に水道水を使わない。アカントアメーバ角膜炎のリスクを知る。
・便利グッズに頼る:「メルル」や「割れない鏡」「LEDライト」などのアイテムで不便を解消する。
「たかがコンタクト」と軽く見ず、丁寧なケアを心がけることで、翌日の景色をクリアな視界で楽しむことができます。目のトラブルは旅の楽しさを半減させてしまいます。無理をせず、自分のスタイルに合った方法で、安全で快適な車中泊ライフを楽しんでくださいね。



