「週末は愛車でふらっと旅に出たい」「自分だけの秘密基地を作りたい」そんな夢を叶えてくれるのが、エブリイを使った車中泊です。市販のベッドキットは高価ですが、自作ならコストを抑えつつ、自分のスタイルに合わせた最強の空間を作り上げることができます。
この記事では、エブリイ(DA17Vなど)にぴったりなベッドキットをDIYする手順を、材料選びから組み立てまで丁寧に解説します。初心者の方でも分かりやすいようにまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
エブリイで車中泊ベッドキットを自作するメリットと基本の考え方

軽バンであるエブリイは、その箱型の形状から「車中泊に最適なベース車」として絶大な人気を誇ります。まずは、なぜ自作がおすすめなのか、そしてどのようなベッドを作るべきかという基本計画についてお話しします。
なぜエブリイが車中泊のDIYに向いているのか
エブリイ、特にDA17Vなどの商用バンモデルは、後部座席を倒すと非常にフラットで広大な荷室空間が生まれます。壁面も比較的直線的で、寸法を測ったり棚を作ったりしやすいのが特徴です。この「素性の良さ」が、DIY初心者でも失敗しにくい大きな理由です。余計な凹凸が少ないため、ベッドのフレームを配置する際も複雑な加工を最小限に抑えられます。
自作ベッドキットと市販品の違いとコスト面
市販のベッドキットは完成度が高く設置も簡単ですが、価格は5万円から10万円ほどすることが一般的です。一方、自作(DIY)であれば、材料選びにもよりますが1万5千円〜3万円程度で製作可能です。浮いた予算をポータブル電源や寝袋などの他のギアに回せるのは大きなメリットでしょう。また、自分の身長や荷物の量に合わせて「高さ」を自由に決められるのも自作ならではの魅力です。
ベッドの構造を決める際の重要ポイント
製作前に決めておくべき最大のポイントは、「ベッド下の高さ」と「分割方法」です。ベッド下を高くすれば収納力は増えますが、寝たときの天井圧迫感が増します。逆に低すぎると収納ケースが入りません。一般的には、床から25cm〜35cm程度の高さがバランスが良いとされています。また、後部座席を普段使うかどうかも重要です。座席を使うなら、ベッドボードを前後に分割し、後ろに重ねて収納できる構造にする必要があります。
メモ: エブリイの荷室長は約180cm〜190cm確保できますが、運転席のポジションによって変わります。自分が快適に運転できる位置で採寸しましょう。
初心者でも安心!ベッドキット自作に必要な材料と道具の選び方

DIYの成功は準備で決まります。ホームセンターで手軽に入手でき、加工もしやすいおすすめの材料と、作業に必要な道具を紹介します。
骨組み(フレーム)に使う材料の種類と特徴
ベッドの土台となるフレームには、主に「イレクターパイプ」か「2×4(ツーバイフォー)などの木材」が使われます。初心者におすすめなのはイレクターパイプです。鉄パイプに樹脂をコーティングしたもので、軽くて丈夫、そして専用のジョイントパーツを使えば接着剤だけで組み立てられます。木材は安価ですが、歪みが出やすく、重くなりやすいため、燃費や車への負担を考えるとパイプ組みに軍配が上がります。
天板(ベッドボード)に適した木材とクッション材
体重を支える天板には、強度のある「構造用合板(コンパネ)」または「OSB合板」を使用します。厚みは12mmあれば十分ですが、より安心感を求めるなら15mmを選びましょう。そのままでは硬くて眠れないため、板の上に「チップウレタン(20mm〜40mm厚)」を貼り、仕上げに「合皮レザー(PVCレザー)」を巻くのが一般的です。これで市販品のような高級感と寝心地が手に入ります。
必須となる工具とあると便利なアイテム
基本的な工具として、メジャー、ドライバー、のこぎりは必須です。イレクターパイプを使う場合は専用の「パイプカッター」があると作業効率が劇的に上がります。また、レザーを板に留めるための大型ホッチキス「ガンタッカー」も必要です。これらはすべてホームセンターやAmazonなどで安価に揃います。
材料を購入する場所とコストを抑えるコツ
木材などの大きな材料は、ホームセンターで購入し、その場でカットしてもらう「木材カットサービス」を利用するのが鉄則です。自分で切るよりも断面が綺麗で、何より楽です。事前に設計図を書き、正確なカット寸法をメモして持参しましょう。
【主な購入リスト】
・イレクターパイプ(28mm径が主流)
・専用ジョイント(プラスチック製またはメタル製)
・構造用合板(1820mm×910mmサイズ × 2枚)
・チップウレタン(ホームセンターやネット通販)
・合皮レザー生地(裏地が伸びるタイプが貼りやすい)
・スプレーのり(ウレタン接着用)
実践編!イレクターパイプを使ったベッドフレームの作り方

材料が揃ったら、いよいよ製作開始です。まずは土台となるフレーム作りから始めましょう。ここでは一般的で加工しやすいイレクターパイプを使った手順を解説します。
車内の寸法計測と設計図の作成
エブリイの荷室は単純な四角形ではありません。タイヤハウス(後輪の出っ張り)や、内装トリムのカーブがあります。メジャーを使って、前方・中央・後方の横幅を細かく測りましょう。特にタイヤハウスを避けて脚を立てる位置を決めるのが重要です。設計図は手書きのラフ画で構いませんので、パイプを何cmで何本切るか、ジョイントがどこに必要かを書き出します。
パイプのカットとジョイントパーツの組み立て
パイプカッターをパイプに挟み、くるくると回すだけで簡単に切断できます。カットしたパイプをプラスチックジョイント(J-118BやJ-4など)で仮組みし、車に入れてみます。この段階では接着剤を使わず、サイズが合っているか確認してください。もし長い場合は数ミリ単位で修正カットします。
水平を保つための調整テクニック
車中泊で最も重要なのは「寝床が水平であること」です。しかし、車の床は微妙に傾斜していたり、凹凸があったりします。イレクターパイプには「アジャスター」という高さ調整可能な脚パーツがありますので、これを脚の先端に取り付けるのがおすすめです。アジャスターを回すことでミリ単位の高さ調整ができ、ガタつきを完全に無くすことができます。
快適な寝心地を実現するベッドボード(天板)の製作手順

フレームができたら、その上に載せるベッドボードを作ります。ここが肌に触れる部分であり、見栄えを左右する重要なパートです。
合板のカットと車体形状への合わせ方
購入した合板を、フレームのサイズに合わせてカットします。通常、エブリイの場合は前後2枚、あるいは4枚分割で作ると扱いやすくなります。このとき、車体後部の内装形状に合わせてコーナーを少し斜めにカットしたり、シートベルトの金具を避けるための「逃げ(切り欠き)」を作ったりすると、プロのような仕上がりになります。
ウレタンチップと合皮レザーを使った表皮張り
カットした合板にスプレーのりを吹き付け、ウレタンフォームを貼り付けます。余分なウレタンをカッターで切り落としたら、その上から合皮レザーを被せます。レザーは板よりも一回り大きくカットし、裏側に折り返してガンタッカーで留めていきます。シワにならないよう、対角線上に引っ張りながら留めるのがコツです。
裏面の処理とズレ防止の工夫
レザーを張り終えたら、裏面のタッカーの針が見えている部分を布テープや不織布で覆うと、車や荷物を傷つけません。また、ボードがフレームの上で滑らないように、裏面に「ジョイント受け」となるパーツ(イレクターパイプ用のサドルなど)を取り付けると、パチッとはまって安全性が高まります。
エブリイの車中泊をさらに快適にするDIYの工夫と注意点

ベッドが完成したら、実際の運用を想定して細かな調整を行いましょう。また、公道を走る車としてのルールも守る必要があります。
ベッド下の収納スペースを最大限に活用する方法
フレームの高さを30cm程度確保していれば、無印良品やニトリなどの収納ボックスがシンデレラフィットすることがあります。長尺物(釣り竿やポールなど)を入れるスペースも確保しましょう。夜間にベッド下をごそごそ探さなくて済むよう、電池式のLEDテープライトをフレーム裏に貼っておくと便利です。
車検対応について知っておくべきルール
自作ベッドキットを作る際、最も気になるのが「車検」です。基本的に、工具を使わずに手で簡単に取り外せる「荷物扱い」の構造であれば、4ナンバー(貨物)のまま車検に通ることが多いです。しかし、ボルトで車体にガチガチに固定してしまうと「構造変更」の手続きが必要になる場合があります。不安な場合は、「車検時は降ろせる仕様」にしておくのが一番確実で安心です。
走行中の安全性と固定方法の重要性
ベッドキットが走行中の急ブレーキやカーブで動いてしまうと大変危険です。ボードとフレームの固定だけでなく、フレーム自体を車体にロープやタイダウンベルトで固定する対策を忘れないでください。特に後部座席に乗員がいる状態で、後ろに積んだボードが飛んでこないように注意が必要です。
まとめ:エブリイのベッドキット自作で理想の車中泊ライフを
エブリイの車中泊ベッドキットの自作について解説してきました。DIYのハードルが高く感じるかもしれませんが、エブリイの素直な荷室形状と、イレクターパイプという便利な材料のおかげで、実は誰でも挑戦しやすいカスタムの一つです。
自分で作る最大のメリットは、コストダウンだけでなく、「愛車への愛着が深まること」と「使い勝手をいつでも改良できること」にあります。まずはシンプルなフラットベッドから始めて、使いながら棚を追加したり、テーブル機能をつけたりと進化させていくのもDIYの楽しみです。ぜひ、世界に一台だけのオリジナルエブリイで、自由な旅を楽しんでください。




