コンパクトで運転しやすいサイズながら、驚くほど広い室内空間を持つスズキの「ソリオ」。普段の買い物や送迎だけでなく、「この車で車中泊はできるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。特に、夫婦やカップル、親子など「2人」で寝られるかどうかは重要なポイントです。
結論から言うと、ソリオは工夫次第で大人2人でも車中泊を楽しむことができます。ただし、快適に眠るためにはシートアレンジや段差の処理にちょっとしたコツが必要です。この記事では、ソリオで2人旅をするための具体的な方法や、用意すべきアイテムについて詳しく解説します。
ソリオの車中泊は2人でも可能?広さと快適性をチェック

まずは、ソリオの室内空間が大人2人の就寝に耐えられるサイズなのか、具体的な数字や感覚をもとに見ていきましょう。コンパクトカーとは思えない広さが魅力ですが、寝室として使う場合には限界もあります。
室内空間のサイズ感
現行の新型ソリオ(MA37S/MA27S系)の室内長は2,500mm、室内幅は1,420mm、室内高は1,365mmと、このクラスの車としてはトップレベルの広さを誇ります。特に注目したいのは室内幅の1,420mmです。これはセミダブルベッド(約120cm幅)よりも広く、ダブルベッド(約140cm幅)に近いサイズ感です。
数字上は大人2人が横になっても肩が触れ合う程度で収まる計算ですが、車内にはドアのアームレストやタイヤハウスの張り出しがあるため、ベッドのような完全な長方形ではありません。寝返りをうつには少し窮屈さを感じるかもしれませんが、就寝自体は十分に可能です。
2人で寝る場合の距離感
2人でソリオに泊まる場合、正直なところ「密着度は高め」です。運転席と助手席、あるいは後部座席をフル活用してフラットな空間を作りますが、横幅に余分なスペースはほとんどありません。
そのため、気心の知れた夫婦やパートナー、親子での利用が前提となります。友人と2人で泊まる場合は、かなり仲が良くないと気まずい思いをするかもしれません。お互いの肘が当たらないよう、頭の位置を少しずらして(互い違いに)寝るなどの工夫をすると、限られたスペースでも少し広く感じられます。
荷物はどこに置く?
2人で車中泊をする際の最大の課題は「荷物の置き場所」です。人間が寝るスペースを作ると、床面はほぼ埋まってしまいます。リュックや着替え、クーラーボックスなどの荷物をシートの上に置くことはできません。
解決策としては、運転席・助手席の足元スペースや、ラゲッジ下のサブトランク(床下収納)を活用するのが基本です。また、天井付近のスペースが空いているため、天井収納ネットなどを活用して、軽い荷物を上に逃がすのがソリオ車中泊を成功させるカギとなります。
旧型と新型の違い
ソリオは2020年にフルモデルチェンジを行い、新型(現行モデル)になりました。新型は旧型に比べて全長が80mm(バンディットは70mm)延長されており、その分荷室の床面長が100mm拡大しています。
たった10cmと思うかもしれませんが、車中泊においてこの差は絶大です。荷室の奥行きが広がったことで、頭や足を伸ばしたときの余裕が生まれました。もしこれから中古車でソリオを探すのであれば、車中泊の快適性を重視して新型(または年式の新しいモデル)を選ぶことをおすすめします。
快適な寝床を作る!2人用のシートアレンジ術

ソリオで寝るためのシートアレンジはいくつかパターンがありますが、2人で寝る場合に最も適した「フルフラットモード」の作り方と、その注意点を解説します。
おすすめは「リラックスモード」の応用
ソリオで最もポピュラーな車中泊アレンジは、前席の背もたれを後ろに倒し、後席の座面と連結させる方法です。
【手順】
1. 前席(運転席・助手席)のヘッドレストを外します。
2. 前席を一番前までスライドさせます。
3. 前席の背もたれを後ろに限界まで倒します。
4. 後席のリクライニングも少し後ろに倒して調整します。
この状態にすると、ダッシュボード付近から後席の背もたれまで、縦に長い空間が生まれます。後席を前に倒して荷室を広げる方法もありますが、それだと縦の長さが足りず大人が足を伸ばせません。2人で寝るなら、この「前席+後席連結モード」が基本となります。
段差の正体と対策
「フルフラット」と呼ばれていますが、実際には完全な平らではありません。特に以下の部分に大きな段差や凹凸が発生します。
まず、前席の背もたれと座面の境目です。ここには腰をホールドするための盛り上がりがあるため、寝たときに背中にゴツゴツ当たります。次に、前席と後席のつなぎ目です。ここにも数センチの段差ができ、ちょうど腰やお尻の位置に来るため、そのまま寝ると翌朝、確実に体が痛くなります。
おすすめのマット配置
この段差を解消するために、厚手のマットは必須です。キャンプ用の銀マット(薄いもの)1枚では、ソリオのシートの凸凹を吸収しきれません。
おすすめは、厚さが8cm〜10cmほどある「インフレーターマット(自動膨張式マット)」です。これを2枚並べて敷くことで、シートの凸凹が気にならなくなり、ベッドのような寝心地に近づきます。もし予算を抑えたい場合は、段差の深い部分にだけバスタオルやクッションを詰め込み、その上からマットを敷くと良いでしょう。
身長が高い人の場合の工夫
身長175cm以上の方が寝る場合、上記のシートアレンジでも足がつかえてしまうことがあります。その場合は、ハンドルやダッシュボードのギリギリまで枕の位置を持っていくか、逆に後席の背もたれを限界まで倒して、ラゲッジルーム側に足を投げ出すスタイルを試してみてください。
また、隙間を埋めるクッション(隙間埋めパッド)を使って、シートの有効長さを数センチでも稼ぐ工夫が有効です。足先が浮いてしまうと疲れるため、足元に荷物を置いて高さを合わせるのも一つのテクニックです。
2人旅を成功させる必須アイテムと便利グッズ

ソリオでの車中泊を「辛い体験」から「楽しい思い出」に変えるためには、適切な道具選びが欠かせません。ここでは特に重要なアイテムを紹介します。
プライバシーシェードの重要性
ソリオは視界が良く運転しやすいのがメリットですが、それは裏を返せば「外から丸見え」ということでもあります。窓ガラスの面積が広いため、夜間の車中泊ではプライバシーの確保が最優先課題です。
専用設計のサンシェード(全窓セット)を用意しましょう。汎用品のカーテンでも代用できますが、隙間から車内の光が漏れたり、朝日で早く目が覚めてしまったりします。車種専用品なら吸盤でピッタリ貼り付き、断熱効果も期待できるため、夏は涼しく冬は暖かく過ごせます。
段差解消マットの選び方
前述の通り、マットは厚手が基本です。ソリオの室内幅に合わせるなら、幅60cm程度のシングルサイズを2枚並べるのがジャストサイズです。ダブルサイズ1枚だと、車内の形状(ホイールハウスの出っ張りなど)に合わず、浮いてしまうことがあります。
また、使わないときはコンパクトに収納できることも重要です。ソリオのラゲッジは限られているため、空気を抜いて丸められるタイプを選びましょう。
収納グッズの活用法
2人分の荷物を整理するために、以下の収納グッズを活用してください。
特に天井収納は、ソリオの高い室内高(ハイトワゴン)の利点を最大限に活かせるので、ぜひ導入してみてください。
LEDランタンと照明
車のルームランプを長時間つけっぱなしにすると、バッテリー上がりの原因になります。必ず電池式や充電式のLEDランタンを用意しましょう。
2人で過ごすなら、あまり明るすぎるものより、暖色系の光で調光できるものがリラックスできておすすめです。マグネット付きのモデルなら、天井やドアの金属部分に貼り付けられて便利です。
ソリオでの車中泊を快適にする季節別の対策

ガラスエリアが広いソリオは、外気の影響を受けやすい車です。季節ごとの対策をしっかり行いましょう。
夏の暑さ対策と換気
夏の車中泊は「暑さ」との戦いです。エンジンをかけっぱなしでエアコンを使うのは、騒音や環境配慮の観点からNGです。必ず「網戸(ウィンドーネット)」を用意して、窓を開けて風を通せるようにしましょう。
ソリオのスライドドアやフロントドアに被せるタイプの防虫ネットが市販されています。これに加えて、充電式のポータブル扇風機(サーキュレーター)を併用し、空気を循環させることで、寝苦しい夜をしのぎやすくなります。
冬の寒さと結露対策
冬は窓からの冷気が車内を冷やします。厚手のシェードで窓を塞ぐことは、防寒対策としても非常に有効です。また、寝袋(シュラフ)は冬用の対応温度が低いものを選んでください。
朝起きると窓が結露でびしょ濡れになることが多いので、吸水性の高いタオルや、結露取りワイパーを準備しておくと、出発前の拭き取り作業がスムーズになります。
春秋の服装選び
春や秋は昼夜の寒暖差が激しい季節です。昼間は暖かくても、明け方は冷え込むことがあります。脱ぎ着しやすい重ね着スタイルを用意し、薄手のブランケットを1枚余分に持っていくと安心です。2人で寄り添えば暖かいですが、それぞれの体感温度に合わせて調整できる準備をしておきましょう。
2人で泊まる際の注意点とマナー

最後に、トラブルなく安全に車中泊を楽しむための注意点を確認します。
防犯対策は万全に
車中泊スポット(道の駅やSA/PA)では、夜間に不特定多数の人が出入りします。就寝時は必ずすべてのドアをロックしてください。
特にスライドドアは半ドアになりやすいので、寝る前にインジケーターやルームランプでしっかり閉まっているか確認しましょう。シェードで中を見えなくすることも、防犯上の大きな効果があります。
駐車場所の選び方
駐車場では、なるべく平らな場所を選びましょう。少しの傾斜でも、寝ていると頭に血が上ったり、体が滑り落ちたりして安眠できません。
また、トイレから遠すぎると不便ですが、近すぎると人の出入りやドアの開閉音が気になります。トイレから少し離れた、外灯の下など適度に明るい場所が、防犯面でも精神衛生上でもおすすめです。
音と話し声への配慮
2人で車内にいると、ついつい会話が盛り上がってしまうことがあります。しかし、夜の駐車場は静まり返っており、車内の話し声は意外と外に漏れているものです。
深夜になったら声のボリュームを落とす、ドアの開閉は静かに行うなど、周りの仮眠している人たちへの配慮を忘れないようにしましょう。マナーを守ることが、快適な車中泊ライフを続けるための基本です。
ソリオ車中泊2人旅のまとめ
ソリオはコンパクトカーでありながら、工夫次第で大人2人でも十分に車中泊が楽しめるポテンシャルを持っています。
ポイントは、「前席+後席をつなげたシートアレンジ」を行うこと、「厚手のマットで段差を解消する」こと、そして「天井収納などで荷物スペースを確保する」ことの3点です。
2人での車中泊は、ホテルのような快適さはなくとも、秘密基地のようなワクワク感と、すぐ隣にパートナーがいる安心感があります。しっかりと準備を整えて、ソリオでの思い出に残る旅に出かけてみてください。



