「せっかくの楽しい車中泊旅行だったのに、朝起きたら体がバキバキで動かない…」
「首も腰も痛くて、翌日の運転が辛かった」
そんな経験をして、「もう車中泊はこりごり」と思ってしまってはいませんか?実は、車中泊で体が痛くなるのには明確な理由があり、ちょっとした工夫と準備で劇的に改善することができるのです。高級なキャンピングカーでなくても、今ある乗用車でまるでベッドのような寝心地を実現することは可能です。
この記事では、なぜ翌日に体が痛くなってしまうのかという根本的な原因から、100均グッズを使って手軽にできる段差解消テクニック、そして失敗しないマット選びのポイントまで、初心者の方にもわかりやすく解説します。しっかり対策をして、翌朝もスッキリ目覚められる快適な車中泊ライフを手に入れましょう。
なぜ車中泊の翌日は体が痛いのか?知っておきたい4つの原因

車中泊を楽しんだ翌朝、体の節々が痛むのには必ず理由があります。「車のシートは座るためのものであって、寝るためのものではない」という大前提を理解することが、快適な睡眠への第一歩です。ここでは、多くの人が陥りがちな痛みの原因を4つに分けて詳しく解説します。原因を知ることで、自分に必要な対策が見えてくるはずです。
シートの段差と傾斜が体を歪ませる
最近の車は「フルフラット」になると謳っている車種が多いですが、実際には完全な水平ではありません。座面と背もたれのつなぎ目には必ず凹凸があり、シート自体も体を包み込むようにバケット形状(端が盛り上がっている形)になっていることが多いです。
このわずかな「段差」や「傾斜」が、寝ている間に体に大きな負担をかけます。例えば、腰の部分が沈み込んで「くの字」になったり、逆に背中が反ってしまったりする状態が数時間続けば、筋肉や関節が悲鳴を上げるのは当然です。特に、ヘッドレストの金具やシートベルトのバックルなどの硬い部分が体に当たっていると、そこが圧迫されて血行不良や痛みの原因になります。人間は平らな場所で寝るように体ができているため、この凸凹を解消しない限り、安眠は難しいのです。
寝返りが打てない狭さと硬さ
私たちは普段、一晩に20回から30回ほどの寝返りを打つと言われています。寝返りには、体の特定の部分に圧力がかかり続けるのを防ぎ、血液やリンパ液の循環を促す重要な役割があります。しかし、車の中という限られた空間では、十分な寝返りが打てないことがよくあります。
特に、荷物を積み込みすぎて寝るスペースが狭くなっていたり、シートの幅がギリギリだったりすると、無意識のうちに同じ姿勢で固まってしまいます。また、寝床が硬すぎると、骨盤や肩などの出っ張った部分に体重が集中し、その痛みで目が覚めてしまうこともあります。さらに、天井が低い車の場合、圧迫感から無意識に体を縮こまらせてしまい、リラックスできないまま朝を迎えることになりがちです。自由に体が動かせない環境は、翌日の体の重さに直結するのです。
夜間の冷えが筋肉を強張らせる
「夏だから大丈夫」と思っていても、車中泊の夜は意外と冷え込みます。特に明け方の気温低下は想像以上です。車は鉄の塊であるため、外気の影響を受けやすく、窓ガラスからは冷気がどんどん入ってきます。また、シートの下(床面)からの「底冷え」も深刻です。
体が寒さを感じると、体温を逃さないように筋肉をギュッと収縮させます。この緊張状態が長時間続くと、肩こりや腰痛の原因となります。さらに、血行が悪くなることで疲労物質が溜まりやすくなり、翌朝の「体が重い」「だるい」という感覚につながります。適切な寝具や断熱対策を行わずに寝てしまうと、寒さで体が強張り、痛みとして跳ね返ってくるのです。季節を問わず、寝ている間の体温管理は非常に重要です。
エコノミークラス症候群のリスクを知ろう
車中泊で最も注意しなければならないのが「エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)」です。これは、長時間足を動かさずに同じ姿勢でいることで、足の静脈に血の塊(血栓)ができ、それが肺に飛んで血管を詰まらせてしまう病気です。
「寝ているだけだから大丈夫」と油断してはいけません。特に、シートを倒しきれずにリクライニング状態で寝たり、足が下がった状態で寝たりするとリスクが高まります。また、車中泊ではトイレに行くのを億劫がって水分を控えてしまいがちですが、脱水状態は血液をドロドロにし、血栓ができやすくなる大きな要因です。翌日の体の痛みだけでなく、命に関わる危険性もあるため、水平な状態で足を伸ばして寝ることと、適切な水分補給は絶対に守りたいルールです。
まずはここから!シートの段差をなくす「フラット化」の基本

車中泊で翌日の体の痛みを防ぐための最大の対策、それは「寝床を平らにすること(フラット化)」です。どんなに高級な寝袋を使っていても、土台となる床が凸凹していては意味がありません。ここでは、身近なアイテムを使って誰でも簡単にできる、シートの段差解消テクニックを紹介します。まずはここから始めてみましょう。
タオルやクッションで隙間を埋めるテクニック
最も手軽で、今すぐできる方法が「タオル詰め」です。家にあるバスタオルやフェイスタオルを数枚用意してください。シートを倒したときにできる、背もたれと座面の間の深い溝や、座面の傾斜している低い部分に、丸めたタオルを詰め込んでいきます。
ポイントは、「手で触って段差を感じなくなるまで」丁寧に詰めることです。特に腰があたる部分が凹んでいると、寝ている間に腰が落ち込み、翌朝の激しい腰痛につながります。タオルの良いところは、形を自由に変えられるため、微妙な隙間にもフィットさせやすい点です。大きめのクッションや座布団がある場合は、大きな凹みをそれで埋め、微調整をタオルで行うとスムーズです。衣類を入れたバッグなどを足元のスペース(足置き場)に置いて、座面との高さを合わせるのも有効なテクニックです。
100均アイテムを活用したコスパ最強の段差解消術
専用の段差解消マットは高価ですが、100円ショップのアイテムを駆使すれば、低予算で快適な寝床を作ることができます。特におすすめなのが「ジョイントマット(パズルマット)」です。これを凹んでいる部分の形に合わせてカットしたり、重ねたりして敷き詰めることで、驚くほどフラットな面を作り出せます。
また、100均で売っている「空気を入れるタイプのクッション(エアクッション)」も便利です。空気の量を調整することで高さを変えられるため、自分好みの硬さや高さに合わせやすいのがメリットです。さらに、滑り止めシートを一番下に敷いておけば、寝返りを打ったときに詰め物がズレるのを防げます。これらを組み合わせ、最後に全体を覆うように薄手の銀マットやラグを敷けば、見た目もスッキリとした簡易ベッドの完成です。工夫次第で、数千円もかけずに劇的な改善が見込めます。
本格派には「コンパネ」や「すのこ」も選択肢
頻繁に車中泊をする方や、DIYが得意な方におすすめなのが、コンパネ(合板)やすのこを使った完全フラット化です。シートを倒した上に、車の内装の形に合わせてカットした板を敷くことで、家の床と同じような真っ平らな状態を作り出せます。
板の下(シートとの間)には、発泡スチロールのブロックや木材を使って脚を作り、水平になるように高さを調整します。こうすることで、シートの凹凸を物理的に無視して寝床を作ることができます。ただし、板の上で直接寝ると硬すぎるため、必ず厚手のマットや布団を敷く必要があります。また、万が一の事故の際に板が凶器にならないよう、走行中はしっかりと固定するか、荷室に収納できるように設計することが重要です。手間はかかりますが、一度作ってしまえば設置も簡単で、最高の寝心地が得られます。
コンパネ使用時の注意点
木材は湿気を吸うため、カビ対策が必要です。使用後は車から降ろして乾燥させたり、通気性の良いすのこを選んだりする工夫をしましょう。
睡眠の質が変わる!車中泊マットと枕の選び方

段差をある程度解消したら、次にこだわりたいのが「マット」と「枕」です。これらは体と直接触れる部分であり、睡眠の質を大きく左右します。「とりあえず家にあるもので…」と済ませてしまうと、翌日の痛みに直結しかねません。車中泊専用の視点で、失敗しない選び方を解説します。
腰痛対策には厚さ8cm以上のマットがおすすめ
車中泊マット選びで最も重要な指標は「厚み」です。薄い銀マット(キャンプ用の薄いアルミマット)1枚だけでは、下の硬さや段差を拾ってしまい、腰への負担は避けられません。腰痛持ちの方や、横向きで寝る癖のある方は、底付き感のない「厚さ8cm以上」を目安に選ぶことを強くおすすめします。
8cmあれば、多少のシートの段差はマットが吸収してくれるため、下準備の段差埋めが完璧でなくても快適に眠れる可能性が高まります。もし収納スペースに余裕があるなら、10cmの厚みがあるものを選ぶと、まるで自宅のベッドのような寝心地になります。逆に、5cm以下のマットは収納性は良いですが、クッション性が低くなるため、タオルでの段差解消をかなり念入りに行う必要があります。自分の車の収納力と相談しながら、できるだけ厚みのあるものを選びましょう。
インフレーターマットとエアマットの違い
車中泊用マットには主に「インフレーターマット」と「エアマット」の2種類があります。それぞれの特徴を理解して選びましょう。
インフレーターマットは、内部にウレタンフォームが入っており、バルブを開くと自動的に空気を吸って膨らむタイプです。ウレタンが入っているため断熱性が高く、クッションもしっかりしています。寝心地を最優先するならこちらがおすすめです。ただし、収納サイズはやや大きめになります。
エアマットは、浮き輪のように空気だけで膨らませるタイプです。非常にコンパクトに収納でき、厚みを出しやすいのがメリットですが、体が沈み込みすぎて腰が痛くなることがあります。また、寝返りのたびに「ボヨンボヨン」と揺れたり、空気の音がしたりするのが気になる人もいます。
初心者の方には、設置が簡単で寝心地が安定している「インフレーターマット」が失敗が少なくおすすめです。
枕は「高さ調整」ができるものがベスト
意外と見落とされがちなのが「枕」です。普段使っている枕を持っていくのが一番安心ですが、荷物になる場合は車中泊用の枕を用意しましょう。このとき重要なのが「高さ調整ができること」です。
車中泊では、マットの沈み込み具合や、車の傾斜によって、最適な枕の高さが変わります。普段より高めが必要だったり、逆に低めが良かったりするのです。空気の量で高さを変えられるインフレータブルタイプの枕や、タオルを出し入れして調整できるタイプが便利です。また、タオルを数枚重ねて枕代わりにするのも一つの手です。これなら、枕として使わないときは段差埋めに使えます。
「枕が変わると眠れない」という繊細な方は、多少かさばっても使い慣れた自宅の枕を持参するのが、翌日の体調を守る最良の手段かもしれません。
マット選びのチェックポイント
- 厚さは8cm以上あるか?
- 自分の車の幅(ホイールハウス間)に収まるか?
- 片付ける際、楽に空気を抜いて畳めるか?
- 表面の素材は滑りにくいか?(スエード調などがおすすめ)
翌日の疲れを残さないための「寝る前」の準備

快適な寝床ができても、寝る前の過ごし方ひとつで翌日のコンディションは変わります。興奮して遅くまでお酒を飲んだり、スマホを見続けたりしていませんか?ここでは、体をリラックスさせ、深い眠りにつくための準備についてお話しします。
水分補給とトイレのバランス
車中泊では「夜中にトイレに行きたくない」という心理から、水分を控えめにする人が多いです。しかし、前述したエコノミークラス症候群の予防や、疲労回復のためには水分が不可欠です。寝ている間にも体からは水分が蒸発しています。
対策としては、寝る1時間前までにコップ1杯程度の常温の水や白湯を飲むのがおすすめです。カフェインを含むコーヒーやお茶、利尿作用のあるアルコールは、脱水を招きやすく、逆にトイレの回数を増やしてしまうので、寝る直前は控えましょう。また、安心して水分を取れるように、トイレの近くに駐車するか、携帯トイレを車内に備えておくという「心の余裕」を持つことも大切です。
車内でもできる簡単ストレッチで血流改善
長時間運転した後の体は、筋肉が固まり、血流が滞っています。そのまま寝てしまうと、固まった筋肉がほぐれず、翌朝の痛みにつながります。寝袋に入る前に、狭い車内でもできる簡単なストレッチを行いましょう。
まずは座った状態で、足首をゆっくりと大きく回します。次に、ふくらはぎを下から上へと優しく揉みほぐします。これは「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎのポンプ機能を助け、血栓予防にも効果的です。さらに、肩甲骨を寄せるように肩を回したり、首をゆっくり左右に倒したりして、上半身の緊張も解きましょう。これだけで副交感神経が優位になり、スムーズに入眠できるようになります。
窓の断熱対策で底冷えを防ぐ
寝る前の準備として、窓の断熱(シェードの設置)は必須です。窓ガラスは外の冷気をダイレクトに伝え、車内の暖かい空気を奪います。専用のサンシェードがあればベストですが、なければ銀マットを窓の形に切ったものや、100均のアルミシートでも代用可能です。
窓を塞ぐことは、防犯やプライバシー保護の観点だけでなく、朝まで室温を一定に保つために非常に重要です。体が冷えると無意識に力が入ってしまい、質の高い睡眠が得られません。「ちょっと面倒だな」と思っても、全ての窓をしっかり覆ってから寝るようにしましょう。これが翌朝の「体の軽さ」に直結します。
もし痛くなってしまったら?起床後のケアと緊急対策

どれだけ対策をしても、慣れない環境では体が痛くなってしまうこともあります。そんなときは、焦らず適切なケアを行うことで、痛みを長引かせず、その後の運転や活動への影響を最小限に抑えることができます。
朝一番にやるべき「目覚めの体操」
目が覚めて「体が痛い」と感じたら、急に起き上がってはいけません。筋肉が固まっている状態で急に動くと、ギックリ腰などを引き起こす可能性があります。まずは寝袋の中で、手足の指をグーパーと動かして末端の血流を促しましょう。
次に、仰向けのまま膝を立て、左右にゆっくりとパタンパタンと倒して腰をひねります。痛みがない範囲でゆっくり行うのがコツです。起き上がるときも、横向きになって手をつき、腕の力を使ってゆっくりと体を起こします。車外に出たら、大きく背伸びをして深呼吸をし、新鮮な空気を取り込みましょう。ラジオ体操のような全身運動も効果的です。
温かい飲み物で内臓から温める
起床後は、温かい飲み物を飲んで体を内側から温めましょう。お湯を沸かして白湯を飲んだり、インスタントのスープを飲んだりするのがおすすめです。内臓が温まると全身の血行が良くなり、こわばった筋肉がほぐれやすくなります。
もし痛みがひどい場合は、使い捨てカイロを腰や肩甲骨の間などの患部に貼るのも有効です。ただし、低温やけどには十分注意してください。近くに日帰り温泉施設があるなら、朝風呂に立ち寄ってゆっくり湯船に浸かるのが最高のリカバリーになります。温浴効果で筋肉の緊張が解け、痛みも和らぎます。
無理せず休憩しながら帰路につく重要性
体が痛い状態での長時間運転は、集中力を低下させ、事故のリスクを高めます。「早く家に帰って寝たい」という気持ちはわかりますが、決して無理をしてはいけません。
いつも以上にこまめに休憩を取りましょう。「1時間運転したら15分休憩する」といったルールを決め、サービスエリアや道の駅で車を降りて、体を伸ばしたり歩いたりしてください。もし痛みが強く、運転に支障があると感じたら、無理せず仮眠を取るか、予定を変更して休養を優先する勇気も必要です。安全に家に帰り着くまでが車中泊の旅です。
まとめ:快適な寝床作りで車中泊をもっと楽しもう
車中泊の翌日に体が痛くなるのは、「仕方がないこと」ではありません。原因の多くは、寝床の段差や冷え、そして準備不足にあります。今回ご紹介した対策を実践することで、車中泊の睡眠環境は劇的に向上します。
重要なポイントのおさらい
- 段差解消(フラット化)が最優先:タオルや100均グッズで隙間を埋め、できるだけ平らな面を作る。
- マットは厚さを重視:8cm以上のインフレーターマットを使うと、腰への負担が大幅に減る。
- 寝る前のケアを忘れずに:水分補給、ストレッチ、窓の断熱で体を守る。
- 無理は禁物:痛くなったら温めて、休憩しながら安全運転で帰る。
最初から完璧な装備を揃える必要はありません。まずは手持ちのタオルやクッションを使って段差を埋めることから始めてみてください。「今日はぐっすり眠れた!」という朝を迎えられれば、車中泊の旅はもっと自由で楽しいものになるはずです。あなたの次の車中泊が、痛み知らずの快適な旅になりますように。




