自由な時間と場所で非日常を楽しめる車中泊は、近年非常に人気が高まっているレジャースタイルです。しかし、人里離れたキャンプ場や道の駅などで車のトラブルに見舞われると、楽しいはずの時間が一転して不安な状況に変わってしまいます。特に夜間や早朝にトラブルが発生しやすい車中泊では、誰に助けを求めればよいか分からず途方に暮れてしまうこともあるでしょう。
そんな時に頼りになるのが、ロードサービスのプロフェッショナルであるJAFです。バッテリー上がりやキーの閉じ込めなど、予期せぬ事態が起きた際にJAFを呼ぶことで、スムーズにトラブルを解決できるケースが多くあります。この記事では、車中泊で起こりやすいトラブルの実例や、JAFへの具体的な依頼方法、会員と非会員の料金の違いなどを詳しく解説していきます。安心して車中泊を楽しむための知識として、ぜひ参考にしてください。
車中泊中にJAFを呼ぶべきよくあるトラブルとは

車中泊をしている最中には、普段の街乗りでは想定しにくい特殊な状況下でトラブルが発生することがあります。エンジンを停止して長時間過ごすことや、整備されていない場所に入り込むことが原因となるケースが少なくありません。ここでは、実際にJAFを呼ぶことが多い代表的なトラブルについて詳しく見ていきましょう。
バッテリー上がり(電装品の使いすぎ)
車中泊において最も発生頻度が高いトラブルの一つが、バッテリー上がりです。車中泊では、エンジンを切った状態で室内灯を長時間点灯させたり、スマートフォンの充電を行ったり、テレビやオーディオを使用したりする場面が多くなります。車のバッテリーはエンジンが回転している時に充電される仕組みになっているため、停車中に電力を消費し続けると、蓄えられた電気が徐々に底をついてしまいます。
特に冬場の車中泊では注意が必要です。気温が下がるとバッテリー自体の性能が低下しやすくなるため、普段よりも早く上がってしまうことがあります。また、電気毛布などの暖房器具をシガーソケットから電源を取って使用する場合、消費電力が大きいため短時間でバッテリーが寿命を迎えてしまうリスクが高まります。朝起きてエンジンをかけようとしたらかからない、という事態は車中泊初心者にありがちな失敗です。
キーの閉じ込め(インロック)
車の鍵を車内に置いたままドアをロックしてしまう「キーの閉じ込め(インロック)」も、JAFへの救援要請が多いトラブルです。最近の車はスマートキーが普及しており、鍵が車内にある状態ではロックがかからない仕組みになっているものも増えています。しかし、車中泊特有の状況がこの安全機能を無効にしてしまうことがあります。
例えば、スマートキーの電池残量が少なくなっている場合や、電波を遮断するような荷物の下に鍵が入り込んでしまった場合、車が「鍵が車内にない」と誤認識してロックしてしまうことがあります。また、寝返りを打った拍子に体の下敷きになったキーのロックスイッチが押されてしまうケースも珍しくありません。深夜の山中やサービスエリアで外に閉め出されてしまうと、季節によっては命に関わる危険性もあるため、鍵の管理には細心の注意が必要です。
タイヤのパンクやバースト
車中泊スポットに向かう道中や、キャンプ場内での移動中にタイヤのトラブルに見舞われることもあります。自然豊かな場所にあるキャンプ場へ続く道は、舗装が不十分で砂利道や悪路であることも多く、鋭利な石や釘などを踏んでパンクしてしまうリスクがあります。また、高速道路を利用して長距離移動をする際に、空気圧不足が原因でタイヤが破裂するバースト事故も発生しています。
スペアタイヤを積載していない車種が増えている現在、パンク修理キットだけでは対応しきれない損傷の場合は、自力での走行が不可能になります。特に夜間の暗い中でタイヤ交換や修理を行うのは非常に困難であり、二次被害を防ぐためにもプロであるJAFに依頼するのが賢明です。JAFであれば、現場でのパンク応急修理はもちろん、修理が不可能な場合のレッカー搬送も対応してくれるため安心です。
ぬかるみや雪道でのスタック(脱輪)
未舗装のキャンプサイトや、河川敷などの柔らかい地面に車を停めた際に起こりやすいのがスタックです。到着時は地面が乾いていても、夜間に雨が降って地面がぬかるみ、翌朝出発しようとしたらタイヤが空転して動けなくなってしまうことがあります。また、冬の車中泊では、寝ている間に雪が積もり、タイヤが埋もれて脱出できなくなるケースもあります。
無理にアクセルを踏み込むと、タイヤがさらに深く地面に沈み込んでしまい、状況が悪化することがほとんどです。また、狭い林道などで脱輪してしまった場合も、自力での復帰は困難かつ危険です。JAFはウインチなどの専門装備を持った車両で救援に来てくれるため、こうした悪路からの引き上げ作業も得意としています。無理をせず早めにプロの手を借りることが、車へのダメージを最小限に抑えるコツです。
JAF会員と非会員で料金はどう違う?

いざトラブルが起きた時に気になるのが、ロードサービスの利用料金です。JAFは会員制のサービスですが、会員でなくても依頼すること自体は可能です。しかし、会員と非会員では請求される料金に天と地ほどの差があります。ここでは、具体的な料金の違いについて解説します。
会員なら基本的に無料になる範囲
JAF会員になっている最大のメリットは、多くのトラブル対応が「無料」になることです。年会費(個人会員で4,000円、入会金別途)を支払っていれば、バッテリー上がりやキーの閉じ込め、パンクの応急修理、さらには燃料切れ(ガソリン代は実費)などの基本的なロードサービスを何度でも無料で受けることができます。
レッカー搬送についても、会員であれば15kmまで無料という特典があります。多くのトラブルは現場での応急処置で解決するか、最寄りの修理工場までの短距離移動で済むことが多いため、会員であれば費用の心配をほとんどせずに救援を呼ぶことができます。また、一度入会していれば、自分の車だけでなく、友人の車やレンタカーを運転している時でもサービス対象となる点も大きな魅力です。
非会員が依頼した場合の高額な料金目安
一方、JAF会員でない人が救援を依頼した場合、基本料金に加えて作業料や出張料が発生し、合計金額は高額になります。例えば、昼間の一般道でバッテリー上がりの救援を依頼した場合、非会員の料金目安は約13,000円〜15,000円程度かかります。これが夜間(20時〜8時)になるとさらに割増料金が加算されます。
さらに高額になりがちなのがレッカー搬送です。非会員の場合、基本料と作業料だけで約13,000円がかかり、それに加えて牽引料が1kmごとに730円(目安)加算されます。もし山奥のキャンプ場から街の修理工場まで30km搬送することになれば、数万円単位の出費を覚悟しなければなりません。たった一度の利用であっても、非会員料金は数年分の年会費を上回ることが多いため、車中泊を頻繁に行うなら会員になっておく経済的メリットは非常に大きいと言えます。
部品代やガソリン代などの実費について
会員であれば作業料は無料になりますが、すべての費用がゼロになるわけではありません。交換が必要になった部品代や消耗品代は、会員・非会員に関わらず「実費」として請求されます。例えば、バッテリーが完全に寿命を迎えており、現場で新品のバッテリーに交換してもらった場合は、そのバッテリー本体の代金を支払う必要があります。
また、ガス欠(燃料切れ)の救援においては、作業自体は会員なら無料ですが、補充してもらったガソリンや軽油の代金は実費精算となります。さらに、パンク修理が不可能なほどタイヤが損傷しており、JAFが用意したタイヤを購入する場合なども同様です。JAFを呼ぶ際は、手持ちの現金やクレジットカードがあるかどうかも確認しておくと安心です。
自動車保険のロードサービスとJAFの違い

多くのドライバーは任意保険(自動車保険)に加入しており、そこにはロードサービスが付帯されていることが一般的です。「保険のロードサービスがあるからJAFは不要ではないか?」と考える方も多いですが、実は両者には明確な違いがあり、併用することでより手厚いサポートを受けられます。それぞれの特徴を理解しておきましょう。
サービスの適用範囲(「車」か「人」か)
最も大きな違いは、サービスが「車」にかかっているか、「人」にかかっているかという点です。自動車保険のロードサービスは、契約している「車」に対して適用されます。つまり、自分の車で出かけた時のトラブルには対応してもらえますが、友人の車に同乗している時や、レンタカーを借りて旅行している時のトラブルには原則として使えません。
対してJAFは「人」にかかるサービスです。会員証を持っている本人がその場にいれば、運転していなくても、どの車に乗っていてもサービスを受けることができます。車中泊のスタイルとして、カーシェアやレンタカーを利用する場合や、仲間同士で交代しながら運転する場合などでは、JAFの会員資格が大きな安心材料となります。マイカー以外での移動も楽しむ人にとっては、JAFの守備範囲の広さは大きなメリットです。
悪路やスタック時の対応の差
車中泊やキャンプなどのアウトドアシーンでは、未舗装路や雪道などの悪路を走行する機会が増えます。ここで注意したいのが、自動車保険のロードサービスでは対応できないケースがあることです。多くの保険会社では、スタック(雪道や泥道などでタイヤが埋まって動けなくなること)からの引き上げ作業をサービスの対象外としていたり、条件付きでの対応としていたりすることがあります。
JAFは、ロードサービスの専門機関として高度な技術と装備を持っているため、悪路でのスタックや脱輪といった困難な状況でも対応してくれます。特に自然の中にあるキャンプ場では、舗装されていない場所でのトラブルが起きやすいため、JAFの対応力は非常に頼もしい存在です。「保険のロードサービスに来てもらったが、対応できないと言われて結局JAFを呼んだ」というケースも実際に発生しています。
利用回数の制限と年間の利用頻度
利用回数に関する制限も確認しておくべきポイントです。自動車保険のロードサービスの中には、バッテリー上がりやキー閉じ込めなどの特定トラブルについて、「保険期間中(1年間)に1回まで」といった回数制限を設けている場合があります。もし年に2回バッテリーを上げてしまったら、2回目は有料対応となったり、そもそも対応を断られたりする可能性があります。
JAFの場合は、会員であれば原則として年間の利用回数に制限はありません。何度呼んでも、対象となるサービスは無料で受けることができます。車中泊では予期せぬトラブルが連続することもあり得ますし、古い車に乗っている場合は故障のリスクも高くなります。回数を気にせずにいつでも救援を要請できるという点は、精神的な余裕にもつながります。
両方に加入している場合のメリット
JAFと自動車保険のロードサービス、両方に加入していることは決して無駄ではありません。むしろ、両者を組み合わせることで「最強の安心」を手に入れることができます。多くの保険会社では、JAF会員であることを申告すれば、保険付帯のロードサービスの内容がグレードアップする提携サービスを行っています。
例えば、JAFの無料レッカー搬送距離は15kmですが、提携している保険会社のサービスと組み合わせることで、搬送距離が延長されたり、距離無制限になったりすることがあります。また、JAFでは有料となる部品交換の一部が無料になるケースもあります。遠方への車中泊旅に出かける際、自宅までの長距離搬送が必要になったとしても、両方のメリットを活かせば高額な費用負担を回避できる可能性が高まります。
いざという時のJAFの呼び方と手順

実際にトラブルが発生した時、焦らずスムーズにJAFを呼ぶための手順を知っておくことは重要です。特に初めての場所や電波状況の悪い山間部などで慌てないよう、連絡手段や伝えるべき情報を整理しておきましょう。ここでは電話とアプリ、それぞれの方法について解説します。
電話(#8139)で依頼する場合の流れ
最も基本的な依頼方法は電話です。全国共通の短縮ダイヤル「#8139」(ハイサンキュー)にかけることで、最寄りのJAFコールセンターに繋がります。通話料は有料ですが、固定電話や携帯電話から24時間365日つながります。もし短縮ダイヤルが使えない場合やIP電話からは、各地域のナビダイヤルへかける必要があります。
オペレーターに繋がったら、まずは安全な場所にいるか確認されます。その後、「会員番号」「名前」「現在地」「車種とナンバー」「トラブルの状況」などを聞かれます。特に場所の説明は重要で、近くに見える目印(建物、交差点名、キロポストなど)を的確に伝える必要があります。車中泊スポットなど住所がはっきりしない場所では、周囲の地形や特徴を落ち着いて説明しましょう。
スマートフォンアプリを使うメリット
現在、非常に便利でおすすめなのがスマートフォン向けの「JAFスマートフォンアプリ」を利用する方法です。このアプリを使えば、電話で説明しづらい状況でも、画面上の操作だけで救援要請を行うことが可能です。会員証がデジタル化されてアプリ内に表示されるため、手元にプラスチックの会員カードがなくても会員サービスを受けられる点も大きなメリットです。
また、アプリから依頼すると、救援車両の現在地や到着予定時間がリアルタイムで確認できる機能があります。「いつ来るかわからない」という不安の中で待ち続けるストレスが軽減され、到着までの間にトイレに行ったり、荷物を整理したりといった準備もしやすくなります。チャット機能を使ってオペレーターと文字でやり取りもできるため、電話の声が聞き取りにくい騒がしい場所でも安心です。
GPS機能で現在地を正確に伝える方法
車中泊で最も困るのが、「自分が今どこにいるのか正確に説明できない」というケースです。山奥の林道や広大な河川敷など、住所が存在しない場所や目印がない場所では、電話での説明は困難を極めます。しかし、JAFアプリを使用すれば、スマートフォンのGPS機能を利用して、正確な位置情報を自動的に送信することができます。
アプリを起動し「ロードサービス」を選択すると、地図が表示されます。現在地がピンポイントで指定されるため、そのまま送信するだけでオペレーターに場所が伝わります。これにより、場所の特定にかかる時間が大幅に短縮され、救援車両の到着も早くなります。電波さえ入れば最強のツールとなるため、車中泊に出かける前には必ずアプリをインストールし、ログイン設定まで済ませておくことを強くおすすめします。
救援要請時のポイント
JAFを待っている間は、二次事故を防ぐために安全な場所で待機してください。高速道路上であれば、ガードレールの外など車から離れた場所に避難することが鉄則です。また、夏場や冬場は車内の温度管理に気をつけ、体調を崩さないようにしましょう。
車中泊でのトラブルを未然に防ぐための対策

JAFは頼りになる存在ですが、トラブルが起きないに越したことはありません。せっかくの楽しい車中泊を中断させないためにも、事前の準備と心がけで防げるトラブルは未然に防ぎましょう。ここでは、誰でも実践できる予防策をいくつか紹介します。
出発前のバッテリーとタイヤ点検
トラブルの大半を占めるバッテリーとタイヤについては、出発前の点検でリスクを大幅に減らすことができます。ガソリンスタンドやカー用品店で、「バッテリーの電圧」と「タイヤの空気圧・溝の深さ」をチェックしてもらいましょう。特にバッテリーは、3年以上交換していない場合は寿命が近づいている可能性が高いため、遠出の前には思い切って交換しておくのが安心です。
タイヤについては、空気圧が適正でないと燃費が悪化するだけでなく、バーストの原因になります。また、タイヤの側面にひび割れがないか、釘などが刺さっていないかも目視で確認してください。スペアタイヤを積んでいる場合は、その空気圧も忘れずにチェックしておきましょう。いざ使おうとした時にスペアタイヤの空気が抜けていては意味がありません。
ポータブル電源の活用と電力管理
車中泊でのバッテリー上がりを防ぐための最も効果的な方法は、車のバッテリーを使わないことです。エンジン停止中にスマートフォンを充電したり、電気毛布を使ったり、扇風機を回したりする際は、車載のシガーソケットではなく「ポータブル電源」を使用しましょう。近年は安価で大容量なモデルも増えており、車中泊の必須アイテムとなっています。
もしポータブル電源がない場合は、モバイルバッテリーを複数持参するか、乾電池式のランタンなどを使用し、車のバッテリーへの負荷を極力減らす工夫が必要です。「これくらいなら大丈夫」という油断がバッテリー上がりを招きます。室内灯をLEDに交換して消費電力を下げるなどの対策も有効ですが、基本的には「エンジン停止=車の電気は使わない」という意識を持つことが重要です。
駐車場所の選定と路面状況の確認
スタックや脱輪を防ぐためには、駐車する場所の選び方が重要です。明るいうちに到着し、地面の状況を目視でしっかり確認しましょう。草が生い茂っていて地面が見えない場所や、土が黒っぽく湿っている場所はぬかるんでいる可能性が高いため避けるべきです。また、水はけの悪い窪地は、夜間の雨で水たまりになりやすいため駐車には適していません。
メモ:
雪国での車中泊では、除雪された固い地面を選ぶことが大切です。新雪の上に停めると、排気ガスの熱で雪が溶け、再凍結してタイヤが固着することもあります。また、マフラーが雪で塞がれると一酸化炭素中毒の危険があるため、定期的な除雪が必要です。
車中泊でJAFを呼ぶ事態に備えて安心な旅を
車中泊は自然の中で自由を味わえる素晴らしい体験ですが、常に車のトラブルというリスクと隣り合わせでもあります。バッテリー上がりやインロック、タイヤのパンクなどは、どんなに注意していても起こり得るものです。そんな時に「JAFを呼ぶ」という選択肢をすぐに思い出し、正しい手順で依頼できれば、パニックにならずに事態を収拾できます。
JAF会員になっていれば、多くのトラブル対応が無料になり、金銭的な不安も解消されます。また、アプリを活用することで、見知らぬ土地でも正確にSOSを発信できることは大きな安心感につながります。事前の点検やポータブル電源の活用といった予防策を講じつつ、万が一のためにJAFの連絡先やアプリの準備を整えて、安全で快適な車中泊ライフを楽しんでください。



